2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510044
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
倉本 香 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (90314442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 精一 相愛女子短期大学, 人間関係学科, 助教授 (40269824)
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Keywords | 天皇 / 国体 / 国民国家 / 日本人 / 皇室 / 倫理 |
Research Abstract |
本年度は、(1)天皇像の系譜、(2)天皇報道の変遷、(3)国内用及び植民地用の教科書に書かれた天皇像、(4)沖縄の知識人にとっての天皇、(5)近代的ファミリーとしての皇室像という本研究の5つのテーマのうち、(1)及び(2)に関して考察した。まず、近代日本の言説においては、近代国民国家の創出期における「開明的君主」、儒教主義的徳育論における天皇像、明治憲法体制下の国家の「機軸」としての天皇、国体明徴が叫ばれた時期の天皇像、戦後憲法体制下の「平和と民主主義を愛する国民的象徴」としての天皇、といったように、各時期の時代状況に対応して様々な天皇像が提示されたが、天皇像との関連で「日本人としての倫理」がどのように語られていったのかという点に関して、森有礼、福沢諭吉、元田永孚、西村茂樹、北一輝、高坂正顕、南原繁の場合について分析した。そして、「創られた伝統」としての天皇イベントがどのように行われ、天皇像の国民への浸透にいかに関わっていったのかを考察する史料とするために、大日本憲法発布式典、明治天皇崩御、皇太子(のちの平成天皇)成婚、昭和天皇崩御がどのように報道されたのかについて、各時期の新聞、雑誌の関連記事(戦後に関しては音声・映像資料も含む)を収集し、さらに、在留外国人の眼から見た天皇はいかなる存在であったのかという問題を検討するための事例研究の史料として、The Japan Weekly Mailその他の外字新聞の関連記事を収集し、検討した。(617字)
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