2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510056
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Research Institution | TOKAI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小倉 紀蔵 東海大学, 外国語教育センター, 助教授 (80287036)
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Keywords | 歴史認識 / 日韓 / イデオロギー / 霊魂 / 記憶 / 中華思想 / 儒教 / 戦後補償 |
Research Abstract |
日韓の歴史認識問題を考える上で、(1)儒教など伝統思想の問題(2)左右のイデオロギーの影響の問題、以上2点に関しては、研究を深めることができた。具体的には、東アジア的「主体」、および韓国における「反日」の儒教的・イデオロギー的要素に関して考察した。西洋近代のタームである「主体」を、東アジアの儒教的伝統において再解釈すると、「歴史」における行為の意味を西洋近代とは異なる視点から把え直すことができる。それによって日韓の歴史認識問題の「特殊性」と「普遍性」を区別することができ、さらにこの間題を契機としてわれわれはどのような「東アジア」を構築してゆくことができるのかを思想的に展望することが可能となるであろう。たとえば具体的には北朝鮮とどう向かい合うか、という問題に関しても、このような新しいアプローチが可能だと考えた(『朝日新聞』掲載論文)。また、研究のもうひとつの軸である「私という主体が韓国に関わるということをめぐっての哲学的考察」に関しては、月刊誌『しにか』での連載論考によって、一定の進捗を見ることができた。ここで議論されているのは、本質主義とナショナリズムの関係、そしてそれを克服するための「関係性」構築への視座であった。
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Research Products
(2 results)