2002 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀の日本における作品イメージの形成-作曲活動と演奏活動の関係を通して
Project/Area Number |
14510066
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Research Institution | Aichi Prefectural University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
楢崎 洋子 愛知県立芸術大学, 音楽学部, 助教授 (50254264)
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Keywords | 作品イメージ / 作曲活動 / 演奏活動 |
Research Abstract |
20世紀の日本における戦前から戦後にかけてを対象に、日本の作曲家が作品を書いて発表するあり方を調査するとともに、日本の作曲家の作品は、どのように受けとめられ評価されていたかを、さまざまな著述資料を通して考察した。具体的には、音楽会のプログラム冊子、各種定期刊行物に記載された演奏記録等を通して、(1)日本の作曲家を対象とする作曲委嘱の担い手、新作を演奏する演奏者・演奏団体、発表機会・場所、を調査するとともに、(2)日本の楽壇を対象とする著述(雑誌特集、批評記事等)において日本の作曲家の作品がどのように話題にされ、評価されているかを調査した。(1)の調査においては、戦後間もないころ日本の作曲家は、委嘱されてではなく自主的に作品を書き、自主的に結成された作曲家グループを通して作品を発表するのが一般的なあり方で、ヨーロッパの古典的な作品を主な演奏レパートリーとしていた演奏家とは志向するものが必ずしも重なっていなかったこと、また、オーケストラ作品については、終戦直後には放送局(NHK)が主たる委嘱の担い手であったのが、1950年代半ば頃からオーケストラが委嘱の担い手となっていく変遷が認められた。(2)の調査においては、同一の作品に対して評価が全く分かれるほど作品観に違いが見られる場合があり、ヨーロッパの古典的な作品を基準にするもの、日本のオリジナリティを求めるもの、欧米の前衛的動向を基準とするもの等の多様な価値観と作品イメージが同時に存在していたことが認められた。
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Research Products
(2 results)