2003 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀の日本における作品イメージの形成:作曲活動と演奏活動の関係を通して
Project/Area Number |
14510066
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Research Institution | Aichi Prefectural University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
楢崎 洋子 愛知県立芸術大学, 音楽学部, 教授 (50254264)
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Keywords | 作品イメージ / 作曲界 / 演奏界 |
Research Abstract |
日本の洋楽史の中でも、音楽作品とはこうあるべきという作品イメージが、作曲界と演奏界の間でとりわけ分岐したと思われる戦後の1950年頃を主な対象として、演奏記録(音楽会の演奏曲目)、音楽会プログラム冊子、音楽雑誌、新聞記事から、どのような作品が取り上げられ、どのようなプログラミングが志向されていたか、また音楽に関する言説からは、どのような作品あるいはどのような演奏が評価される傾向にあったかを考察し、次のような結果を得た:(1)ドイツ・オーストリアの古典を模範とする体制の中で、演奏の現場においては近・現代の作品を取り上げる傾向にあった、(2)近・現代の作品からは、フランス近代のほか非西欧および日本を含む非ヨーロッパの作品が取り上げられる傾向にあった、(3)非西欧の作品を自分たちの感性に近いものと感じていた点は作曲界も演奏界もほぼ共通していた、(4)ドイツ・オーストリアを模範とする体制は教育政策上の指示であり、必ずしも日本の楽壇の嗜好ではなかった、(5)演奏評ではドイツ・オーストリアの古典音楽の演奏に適切なスタイルが基準となり、それから反れるスタイルは、特性として評他されるのでなくマイナス評価される傾向にあった、(6)新作に対しては、オリジナルな作品を求めつつも、それに該当する作品が出てこない、と聴き手に思わせる状況であった。作曲界と演奏界の間で言説においては志向するものに齟齬があったように見受けられるが、実際には、作風と演奏スタイルは同一の嗜好が反映されていたことが指摘される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 楢崎洋子: "日本の1950年代における作曲界と演奏界:批評に見る作品イメージ"転換期の音楽(論文集). 416-424 (2002)
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[Publications] 楢崎洋子: "日本作曲界通史:現状と問題点"武蔵野音楽大学研究紀要. 34. 69-82 (2003)
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[Publications] 楢崎洋子: "1930年代の日本の民族主義と江文也"江文也シンポジウム(シンポジウム配付冊子). 1-14 (2003)