2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510067
|
Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
龍村 あや子 京都市立芸術大学, 音楽学部, 教授 (40207064)
|
Keywords | グロバリゼーション / 音楽学 / 批判理論 / アドルノ / 音楽社会学 / 民族音楽学 / フランクフルト学派 / 社会哲学 |
Research Abstract |
本年度は研究の2年目であり、またアドルノ生誕100年に当たる年でもあるので、活発に海外の調査、シンポジウムへの出席を行った。 1)9月半ばに、ロシアにおけるグロバリゼーションと観光化に伴う音楽文化変容に関する予備調査を行った。ロシアの大都市では現在急激な西欧化が進み、音楽文化にも大きな変化が現れている。 2)9月後半から10月はじめにかけてドイツのフランクフルト、フライブルクで行われた2つの国際シンポジウムに参加し、活発な意見交換を行った。またアドルノに関する新しい資料、本が多数出版され、その収集を行った。先年まではアドルノはもはや時代遅れなどとドイツでは書われていたが、今回のシンポジウムの隆盛を見ると、再び新たな研究の展開が始まったと思われる。しかしアジア人でアドルノの音楽批判理論を研究している学者は極めて少なく、筆者自身の研究の重要性を新たに認識した。 3)11月にはイタリア・シエナ大学と京都市立芸術大学との交流シンポジウムで「音楽の東西-比較美学的に見た音楽の存在形態の本質的差異と無形文化遺産の意義」という題で、英語で発表を行った。この成果は、日本語と英語で京都市立芸術大学から出版予定である。 4)比較文明学会創立50周年を記念して出版された本『文明間の対話に向けて』(世界思想社)に、共著者として「比較文明学の課題としての<音楽>もしくは<音文化>」という題の論文を執筆した。 5)アドルノの著書『新音楽の哲学』の翻訳をほとんど完成した。平成16年度に平凡社より出版見込みである。 以上、来年度には、『新音楽の哲学』の翻訳出版だけではなく、グローバル化時代の音楽批判理論に重点を置くアドルノ研究をまとめたいと思う。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 龍村あや子: "『アドルノ批判のプリズム』中「グローバル化時代のアドルノ理論」"平凡社(徳永恂編)共著. 169-204 (2003)
-
[Publications] 龍村あや子: "『文明間の対話に向けて』中「比較文明学の課題としての<音楽>もしくは<音文化>」"世界思想社(共著). 209-228 (2003)
-
[Publications] 龍村あや子: "『シエナ2003シンポジウム報告書』(仮題)中「音楽の東西-比較美学的に見た音楽の存在形態の本質的差異"京都市立芸術大学(印刷中). (2004)