2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510067
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
龍村 あや子 京都市立芸術大学, 音楽学部, 教授 (40207064)
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Keywords | グロバリゼーション / 音楽学 / 批判理論 / アドルノ / 音楽社会学 / 民族音楽学 / ウイグル / フランクフルト学派 |
Research Abstract |
本年度は研究の最終年度に当たるが、この研究は継続して行うことが必定と考え、単なるまとめでははく次年度につながる研究活動を行った。 1)9月9日から20日まで、中国の新疆ウイグル自治区において、イスラム系少数民族であるウイグルの人々の生活と伝統音楽が、現在のグローバル化の状況の中でどのように変化しつつあるかに関するフィールド調査を行った。音楽と舞踊は今日のウイグル民族にとって、中国政府の政策によって推奨される重要な観光資源であるばかりか、自身のアイデンティティを主張できるよりどころでもある。このため音楽学校での教育システムが確立されていてレベルの高い伝統音楽教育が行われ、各地に歌舞団が存在するが、そこにも近代化と西洋化の波は押し寄せている。またオアシスに点在する主要な街での様式がそれぞれ異なるのが注目される。この内容に関しては別途報告書で論じる。 2)報告者による翻訳がほぼ完成したアドルノの『新音楽の哲学』に関する発表を11月の日本音楽学会大会で行った。2005年度前期に刊行予定である。 3)同じく11月に日本ポピュラー音楽学会大会のシンポジウムで、グローバル化とポピュラー音楽研究、アドルノ理論についての発表を行った。 4)2003年度に国際学会で発表した「グローバル化と音楽学」に関する英語論文が印刷出版された。 5)2003年度の行ったシエナ大学でのシンポジウムの報告書に関する英語の論文が印刷出版された。 6)2005年3月21日から31日まで、スペイン・セヴィリアでの聖週間の行列に関する音楽の調査、およびドイツ・ベルリンでの研究資料収集を行った。アンダルシア地方で聖習慣の行列に関する音楽の調査、およびドイツ・ベルリンでの研究資料収集を行った。アンダルシア地方で聖週間に行われる行列に向かって歌いかけるサエタと呼ばれる歌は、キリスト教の行事であるが歌い方はロマ民族的で、西方的要素と東方的要素の結びつきが見られる。こうした異種の宗教と音楽文化の融合は、今後の研究課題の1つである。
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Research Products
(4 results)