2003 Fiscal Year Annual Research Report
Change Blindnessにおける変化の自覚を生む要因を探る
Project/Area Number |
14510090
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩崎 祥一 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (90117656)
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Keywords | spatial attention / change blindness / magnocellular neuron / awareness |
Research Abstract |
Change Blindnessは、注意と自覚の関係が深いことを示す興味深い現象である。注意の制御は、刺激に駆動されるbottom-upの制御と意図的・能動的に行われるtop-downの制御とがあることが知られている。Change Blindnessの刺激提示法(フリッカー法)では、刺激布置を提示する際の全体的なonsetにより刺激布置の一部に加えられた変化の信号がマスクされることでそうしたbottom-upの信号が減弱し、能動的な注意によらない限り変化に気がつかない状態となっていると考えられる。この研究では、そうした注意をbottom-upに駆動する信号としての役割を担っているのは神経のmagnocellular系であるとの仮説にたち、Magnocellular系に対し抑制的に作用するとされている赤を背景色としたChange Blindness実験を行った。 最初の年は、空間的注意実験によりブランクの挿入が注意の捕捉を抑制することを確かめる実験を行った。具体的には、ターゲットの位置を示す手掛を提示し、これにより自動的な注意の捕捉が起きるようにした上で、Change Blindness事態と同様に手掛提示とターゲット提示の間にブランクを挿入し、それが注意の捕捉を妨害するかどうかを調べた。得られた結果は、ブランクを挿入された条件では通常の条件(ブランクなし)のような注意の捕捉が見られず、たしかにChange Blindnessでのブランク挿入が局所的な変化の信号に対し、抑制的に作用していることが示された。さらに、2年目にはChange Blindnessを起こす実験条件で、背景色を赤とした場合に他の背景色(緑か灰色)と比べ、変化の検出に要する時間が増大することを実証した。この結果は、変化の検出にMagnocullar系が重要であることを示す結果と解釈された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 岩崎祥一, 大原貴弘: "注意の捕捉"心理学評論. 48. 462-481 (2003)
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[Publications] 岩崎祥一: "視覚における注意と意識の関係"基礎心理学研究. 2/(1). 74-79 (2002)