2002 Fiscal Year Annual Research Report
実験室マウスの社会行動に対する隔離飼育の影響を媒介している機構に関する研究
Project/Area Number |
14510091
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 克紀 筑波大学, 心理学系, 講師 (50261764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一谷 幸男 筑波大学, 心理学系, 助教授 (80176289)
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Keywords | マウス / 隔離飼育 / 雌との同居 / 社会的相互作用 / 攻撃行動 / 居住者-侵入者手続き |
Research Abstract |
雄マウスにおける隔離飼育の影響が他個体との身体的接触の欠如から生じるという考えがある.隔離飼育された雄マウスでは触刺激に対してのみ過敏反応が生じたという報告がある.隔離飼育による攻撃増加は,このような触刺激に対する過敏反応によって個体間の社会的相互作用がより激しくなった結果生じるという説明が提出された.しかし一部の研究者は,雌との同居によっても隔離個体と同等かそれ以上の攻撃が生じることから,触刺激の単なる欠如による説明は不十分であると指摘した.ところが,雄間の社会的相互作用について隔離飼育による変化と雌との同居による変化が異なるという報告が複数あり,そうした批判それ自体が的はずれである可能性がある.そこで,今年度は,攻撃を含めた雄間の社会的相互作用について,隔離飼育と雌との同居による変化を居住者-侵入者手続きを用いて比較検討した. ICR/JCL雄マウスを7週齢の時点で隔離あるいは雌との同居の2条件に分け,2週間飼育した後,連続9日間,暗期に赤色照明下で侵入者テストを行なった.侵入者は集団飼育したICR/JCL雄マウスであった.テスト時間は10分で,攻撃潜時および25種類の行動項目の生起頻度をビデオ記録から調べた.その結果,攻撃潜時は雌との同居条件において2-4日目で減少し,隔離条件に比べより短くなった.また有意差はなかったものの,攻撃量についても雌と同居した雄で多く,すべてのテストで攻撃を示した個体数も隔離条件の0匹に対して,雌との同居条件では8匹中6匹にのぼった.さらに,臭い嗅ぎ,社会的毛づくろい,追従といった社会行動成分は隔離雄で多く,すくみ反応は6日目以降隔離条件で増加し,雌との同居条件より多くなった.このように,隔離飼育と雌との同居ではその社会行動に対する影響に違いがあることが居住者-侵入者手続きにおいても確認された.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 加藤克紀: "能動的回避反応習得に伴う近交系マウスの行動変容"筑波大学心理学研究. 24号. 7-20 (2002)
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[Publications] 加藤克紀: "マウスとラットにおける行動の構造と攻撃行動と遺伝"アニテックス. 14巻5号. 243-248 (2002)
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[Publications] 加藤克紀, 牧野順四郎: "高・低活動系マウスにおける雄間の社会的相互作用"動物心理学研究. 52巻2号. 142 (2002)
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[Publications] 昌子浩孝, 加藤克紀: "処女雌・童貞雄マウスの養育行動に及ぼす雄親の影響"動物心理学研究. 52巻2号. 135 (2002)
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[Publications] 加藤克紀: "雄マウスの対侵入者行動に対する雌との同居および隔離飼育の影響"日本心理学会第66回大会発表論文集. 951 (2002)
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[Publications] 高橋阿貴, 加藤克紀: "高・低活動系マウスのオープンフィールド行動における抗不安薬の効果"日本神経精神薬理学雑誌. 22巻6号. 322 (2002)