2004 Fiscal Year Annual Research Report
実験室マウスの社会行動に対する隔離飼育の影響を媒介している機構に関する研究
Project/Area Number |
14510091
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 克紀 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (50261764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一谷 幸男 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (80176289)
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Keywords | 隔離飼育 / c-Fos / 免疫組織化学 / マウス / 嗅覚情報処理 / 扁桃体 / 情動 / 社会行動 |
Research Abstract |
今年度は,c-Fos免疫組織化学的染色法を用いて,他の雄との遭遇時の隔離雄の脳神経活性化部位の解析を行った.[方法]ICR系雄マウスを4週齢から単独または集団で飼育した.10〜11週齢時に金網製の小型ケージに入れた同週齢の集団飼育雄と身体接触を排除した遭遇テストを行った.60分間の遭遇テスト後,脳を灌流固定し,c-Fos免疫染色を行い,嗅覚情報処理および情動反応に関わる脳部位についてc-Fos陽性細胞数を計測した.[結果]隔離雄では,集団雄との遭遇の有無に関わらず,集団雄と比較して,c-Fos陽性細胞数が全般に増加する傾向が認められた.主嗅球では隔離飼育によってc-Fos陽性細胞数が増加した.一方,副嗅球では隔離雄,集団雄ともに集団雄との遭遇によってc-Fos陽性細胞数が増加した.扁桃体とその投射領域については,外側中隔,視床下部室傍核,扁桃体中心核・皮質核・内側核,縫線核において,隔離雄でのみ集団雄との遭遇によるc-Fos陽性細胞数の増加が生じた.[結論]隔離飼育によって,特に主嗅覚経路における情報処理に変化(敏感化)が生じている可能性が示された.また,扁桃体とその投射領域におけるc-Fos発現量の増加が,隔離雄においてのみ集団雄との遭遇時に認められたことから,隔離飼育による扁桃体の興奮性増大に伴う情動覚醒レベルの亢進が隔離雄の社会行動変容を引き起こす重要な要因である可能性が示唆された.[次年度の課題]隔離雄特異的なc-Fos発現パターンをもたらす環境要因を特定するため,不特定の集団雄の臭いのみを提示し,本実験と類似したc-Fos発現パターンが出現するか検討する.また遭遇テスト時のビデオ記録を解析し,本実験で得られたc-Fos発現パターンと行動との相関を調べる.さらに隔離の時期や期間の長さがc-Fos発現パターンに与える影響についても確認する.
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Research Products
(6 results)