2002 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚性認知に関する鳴禽類と魚類の比較神経行動学的研究
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14510095
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
山崎 捨夫 岐阜大学, 教育学部, 教授 (40118849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 亮平 北里大学, 医学部, 専任講師 (30196290)
大井 修三 岐阜大学, 教育学部, 教授 (70092393)
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Keywords | 雌セキセイインコ / 雄Warble Song / NCM聴覚性ニューロン / 音声認知 / キンギョ / 音・視覚刺激同時弁別学習 / 1報酬 / 2弁別課題 / 高弁別パーフォーマンス |
Research Abstract |
鳥類、その中でもスズメ目鳴禽類やオウム・インコ目は、人と同様に音声によるコミュニケーション能力に秀でた動物である。本研究では,インコ・オウム目に属するセキセイインコの音声コミュニケーション行動を神経行動学的アプローチで解析した。 雌のセキセイインコを防音箱の中に入れ,同種の雄のWarble Song(さえずり、哥;以下Song)を聞かせ、認知的な情報処理を行っている脳の部位を検討した。この結果,高次聴覚関連野(neostriatum caudale pars medialis ; NCM)のニューロンにおいて,最初期発現遺伝子Zenkの産生物であるZENKタンパク質(ZENK)の発現が観察された。また,刺激Songの複雑度が増すにつれて、NCMにおけるZENK発現細胞数が増加した。すなわちNCMには,同種のSongに特異的に応答し、Songの複雑度に依存した応答を示すニューロンが存在していた。 魚類の研究では,振動性刺激に対する認知処理の行動的特徴を明らかにするために、キンギョを被験体とし、刺激弁別能力を検討した。これまでの研究では、2種類の弁別学習課題を利用してきた。明暗を継時的に弁別させる回避課題と視覚刺激を同時に提示して弁別させる報酬(分かれた仲間と再び群れる)課題である。本研究では微妙な音の弁別を行わせるために、課題自体が被験体にとってかなり強いストレスになり,電撃による回避課題はさらにストレスフルになることが予想されるので、報酬が動機づけとなる同時弁別課題を用いた。これまでの同課題では4連式弁別装置が利用され、被験体は4回の弁別で1報酬に出会う。しかしこの強化率はキンギョにとって難しく、パーフォーマンスの大きなぶれを見てきた。そこで本研究では、安定したパーフォーマンスを発揮させるべく、装置と課題の開発から始めた。大きな変更点は、動機づけを高めるために1報酬/4弁別という強化率を1報酬/2弁別とし,強化率を2倍に上げることであったすなわち4連式の装置を2連式にした。本装置の開発で、すべての被験体が3ヶ月にわたる縦縞/横縞・斜め縞弁別課題において、高パーフォーマンス水準を維持することが明らかとなった。今後この装置によって、音弁別実験が可能となった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Eda-Fujiwara, H., Satoh, R., Bolhuis, J.J., Kimura, T.: "Neuronal activation in female budgerigars is localized and related to male song complexity"European J. Neuroscience. 17. 149-154 (2003)
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[Publications] Satoh, R., Eda-Fujiwara, H., Kawabe, Y., Shinohara, M., Kimura, T., Yamazaki, S: "Induction of ZENK protein in the brain of budgerigars (Melopsittacus undulatus)"Jpn. J. Physiology. 52(in press). (2002)
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[Publications] Satoh, R., Eda-Fujiwara, H., Kawabe, Y., Shinohara, M., Kimura, T., Yamazaki, S: "Induction of ZENK protein in the brain of budgerigars (Melopsittacus undulatus) (2)"Neuroscience Research, suppl. 25(in press). (2002)
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[Publications] 大井修三: "キンギョの傾き識別能力"動物心理学研究. 52(2). 166 (2002)
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[Publications] 大井修三: "キンギョを非検体とした2つの学習課題"めだかの学校研究会第1回研究集会講演要旨集. 4 (2003)
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[Publications] 藤原宏子, 佐藤亮平, J.J.Bolhuis, 木村武二: "さえずりの複雑さに感受性を持つ雌セキセイインコの終脳聴覚領"第21回日本動物行動学大会発表要旨集. 50. 75 (2002)