2004 Fiscal Year Annual Research Report
microsleepの発現要因解明と判定基準作成研究
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14510098
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Research Institution | National University Corporation Tottori University |
Principal Investigator |
広重 佳治 国立大学法人鳥取大学, 地域学部, 教授 (80140416)
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Keywords | microsleep / 脳波パワスペクトル / 緩徐眼球運動 / 運動調節 / 覚醒維持 |
Research Abstract |
マイクロスリープ(microsleep : MS)の行動的および生理的表出について報告する。 1)MSの行動的表出:交代式tap運動のtapの連鎖(tap列)の変容に着目し、覚醒維持を調べた。約20分間の交代式tap運動の資料をtapの個数、荷重圧、間隔および手の切り替えに要する時間のパラメータから成るtap列時系列に変換した。分析の結果、tap列の変容は3つの状態に区分できた。正常なtap運動が安定して継続する状態A、手の切り替え不能を特徴とする運動の崩壊過程である状態C、および前二者の間に介在する状態Bであった。最後の状態Bは運動の誤操作と修復とが頻繁に繰り返され、そのため標準型・中断型(中途打ち切り型)・脱落型(tap間隔の延長型)などの多様な運動様式が現れる特徴があった。加えて、状態Bの覚醒水準は脳波α波の出現率が50%前後で不安定に変動し、緩徐眼球運動が頻発するなど、入眠状態に類した低い水準にあった。状態BはMSを内包する行動的表出と考えられた。2004年度の学部紀要に発表。 2)MSの生理的表出:行動的に規定されたtap列を分析の準拠枠とするtap×tap分析により,運動直前(tap間隔内)の脳波と眼球運動の時系列解析(変動型分析長)を実施した。前頭部と後頭部の脳波パワスペクトルは高分解能のスペクトル推定が1〜2秒の短い分析長でも可能であり、高速フーリエ解析で問題となる分析長の制約がない最大エントロピー法を用いて求めた。眼球運動信号は自動計測法(広重,2002)を準用して緩徐眼球運動を検出した。脳波、眼球運動およびtap運動の分析処理を並行して行い、その結果を同一画面上に経時的に表示する統合型処理法を開発し、MSの生理的・行動的表出を視覚直裁的に把握できるよう工夫した。その結果,tap列の型(標準型、中断型)の違いに関わらずtap荷重圧が減少する場合、その直前数秒間の覚醒水準は入眠状態を示唆する水準にまで低下する生理的変容、つまり緩徐眼球運動の出現を背景に脳波α帯域パワの減少と帯域パワ比(α/θ比,α/β比)の低下を主要な特徴とするスペクトル構造の変容を示した。これはMSに関わる行動と生理の収束像をとらえたものと理解している。2005年開催の生理心理学会と日本心理学会にて発表。
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Research Products
(3 results)