2004 Fiscal Year Annual Research Report
盲点における視覚的フィリングインの時空間的特性に関する研究
Project/Area Number |
14510100
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中溝 幸夫 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (60036978)
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Keywords | 盲点 / フィリングイン / 知覚的補完 |
Research Abstract |
本研究は、盲点における知覚的補完(フィリングイン filling-in)の時間・空間的特性を心理物理学的方法を用いて調べることによって、脳における補完機能のメカニズムを解明することを目的にしている。 今年度は、線分刺激を盲点領域にまたがるように呈示したとき、線分の長さの知覚に歪みが生じるかどうか(size distortion)を調べた。従来の研究では、知覚的縮小が起こるという結果と縮小は起こらないという結果とが得られている。このような結果の食い違いは、用いた方法の違いに起因すると考えられる。この研究では、単眼視条件と両眼視条件を用いて線分の知覚的長さをPEST法を用いて測定した。単眼条件では、テスト線分を盲点上に、基準線分を盲点とは反対側の網膜(temporal side)に呈示した。一方、両眼条件ではテスト線分を盲点上に、基準線分を他方の眼の盲点対応部位(nasal side)に呈示した。コントロール条件として、盲点と同じ偏心度で、盲点にかからない網膜位置に同じ長さの線分を呈示して長さ判断をもとめた。他の変数として線分の方位条件(水平、垂直線分)を設けた。 実験の結果、単眼条件、両眼条件ともに、水平方向線分では知覚的縮小が起こり、垂直線分では、縮小が起こらないという結果が得られた。水平線分での知覚的縮小量は、約0.58度で、垂直線分のそれは0.11度であった。以上の結果から、盲点領域にまたがって呈示され、知覚的補完が生じた線分刺激は、水平方向では縮小して知覚されることがわかった。 この長さの歪みは、おそらく補完に関係する神経的メカニズムに起因すると推測される。今後は、長さの歪みが視方向知覚に反映されるのかどうかを調べる必要がある。
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Research Products
(6 results)