Research Abstract |
1.記憶定着メカニズムの活性化量理論による説明可能性の学際的・包括的検討 記憶定着の促進に関わる様々な知見が,再生率は記憶の活性化量で決定されるとする活性化量理論で統一的に説明可能であることを学際的方法で検証した。 1)形態・音韻・意味処理を反復した場合の再生率が,処理水準説の予想とは異なり,活性化量理論の予想通り,活性化量に応じて高まることを実験的に検証した(水野,2004a)。 2)形態→意味,意味→形態のように異なる処理を異なる順序で反復した場合の再生率を昨年とは違う条件下で測定し,処理水準説の予想とは異なり活性化量理論の予想通り,反復順序によって再生率が有意に異なることを実験的に検証するとともに(水野,2004c),「活性化量理論」の数理モデルである活性化量モデルにより,この結果を正確に再現できることをシミュレーションで検証した(水野,2004d)。 3)維持リハーサルと精緻化リハーサルによる再生率の違いが活性化量の違いに起因する可能性を実験的に示した(水野,2004e)。 4)上述の処理水準やリハーサル以外にも,精緻化,検索経路の強化,文脈の影響,処理資源量,符号化多様性と特定性などの記憶定着に関わる知見が,活性化及び活性化量という概念を用いることでいかに整合性をもって説明しうるかの理論的展望を行うとともに,活性化量理論により,維持リハーサルと精緻化リハーサルによる再生率の違いが的確に予測・説明できることを実験的に検証した(水野,2005a)。 2.CAIへの応用 昨年までに開発した,学習毎の活性化量をできるだけ多くし,かつ,メタ認知的モニタリングを促進することで効果的な学習を可能にしたCAIを,実際に講義で利用しているe-learning systemに適用し,その効果・評価の高さを実践的に検証した(Mizuno,2004;水野,2004f,2005b)。
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