2004 Fiscal Year Annual Research Report
社会的迷惑行為を予防するための教育実践-社会志向性・社会的コンピテンスを高める-
Project/Area Number |
14510133
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 俊和 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (70131216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 和志 愛知淑徳大学, コミュニケーション学部, 教授 (20211922)
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Keywords | 社会志向性 / 社会的コンピテンス / 社会的迷惑行為 / 社会考慮 / 信頼感 / 共感性 / 教育実践 / ソーシャルライフ |
Research Abstract |
目的 「人の行動の仕組み」、「対人関係」、「集団や社会」に関して得られた社会心理学の知見を生徒に体験的に教えることにより、社会的コンピテンス(対人関係能力、集団への自律的適応力)や社会志向性を高めるためのプログラムを実践し、その効果を明らかにする。 教育実践 名古屋大学教育学部附属中学校において、1年生30時間、2年生10時間、3年生10時間の授業を実施した。すでに授業プログラムは作成していたので、今年度は、附属学校教員が実施する際のアドバイスを行った。他にも、名古屋市立楠中学校から実践の依頼があり、大学院生1名と一緒に、実施指導に当たった。 教育効果の測定 附属中学校1年生と楠中学校の1年生を対象に、事前-事後の効果を測定するための質問紙を実施した。附属学校では、主にクラスの友だちとの関係や学校適応について、楠中学校では、対人認知や葛藤事態への対処方略を中心に測定した。また、対照群として、実践をしていない公立中学校での質問紙を実施した。 成果の発表 日本教育心理学会第46回総会発表論文集で、人間・社会を考える能力を刺激する教育の実践(3)として報告した。内容は、平成13年度入学生と平成14年度入学生が中学校3年間、「ソーシャルライフ」の授業を受けて、どのような効果があったかを縦断的に測定した結果をまとめたものである。中学生版社会考慮尺度、中学生版信頼感尺度、パースペクティブ・テイキング、情緒的共感性尺度について検討した。社会考慮尺度については、徐々に低下していく傾向が見られ、授業を受けるにつれ、自分たちの行動があまり社会を考慮していないことに気付くことが明らかになった。逆に、パースペクティブ・テイキングは上昇し、認知的な共感性という行動志向性を高めることも明らかになった。このほか、日本社会心理学会第45回大会のシンポジウム『学校現場における社会心理学と臨床心理学の協働-その可能性を考える-』に、シンポジストとして参加し、教育実践の取り組みとして、授業プログラムを紹介した。
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Research Products
(1 results)