2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510145
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
深田 博己 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (10112161)
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Keywords | 説得 / 脅威アピール / 集合的対処 / 集合的防護動機モデル / 環境問題 |
Research Abstract |
脅威に対する個人の単独的対処が不可能で、多数の人々の同時並行的な集合的対処のみが可能な環境問題に焦点化し、環境配慮的行動意思の規定因を探った。日本人大学生を対象とし、集合的防護動機モデルの提唱する8つの認知要因(脅威の生起確率と深刻さ、対処行動の効果性とコスト、実行能力と責任、実行者割合と規範)からなる4つの評価要因(脅威評価、対処評価、個人評価、社会評価)が環境配慮的行動意思に及ぼす影響を、被験者の性要因あるいは環境問題への関心要因を導入することによって検討した。その結果、4つの評価要因よりも性要因の方が環境配慮的行動意思に及ぼす影響は大きく、女性は男性よりも環境配慮的行動意思が大きかった(日本心理学会第67回大会発表)。また、関心上位群では、深刻さ、効果性、コスト、実行能力の各認知要因が環境配慮的行動意思に及ぼす影響は有意であったが、関心下位群では、これらの要因に加えて実行者割合、規範、責任の各認知要因が環境配慮的行動意思に及ぼす影響は有意であり、集合的防護動機モデルの説明力は関心上位群よりも関心下位群の方が優れていることが実証された(日本社会心理学会第44回大会発表)。また、中国人大学生を対象とし、集合的防護モデルの提唱する8つ認知的要因が環境配慮的行動意思に及ぼす影響を検討した。その結果、生起確率認知要因を除く7つの要因はある程度の影響力をもつことが判明した。すなわち、実行能力認知要因が最も明瞭な正の影響力を、効果性認知要因と深刻さ要因がそれに続く正の影響力を、コスト認知要因が弱い負の影響力を、責任認知要因と実行者割合認知要因が弱い正の影響力を示した。中国人の環境配慮的行動意思の規定因を検討する際の理論的枠組みとして、集合的防護動機モデルが有用であることが確認された(日本社会心理学会第44回大会発表)。
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