2002 Fiscal Year Annual Research Report
柔軟で機能的なコラボレーションを育むチーム・マネジメントに関する研究
Project/Area Number |
14510153
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山口 裕幸 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (50243449)
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Keywords | チームワーク / 知的コラボレーション / マネジメント・システム / チーム・エンパワーメント / チーム・コンピテンシー |
Research Abstract |
本研究は、チームで的確な情報処理を行い、エラーを防止し、リカバーしあい、創造的に問題を解決するために、メンバーどうしが正確に情報を共有し、各自の努力と行動を柔軟に調整しあって、役割を完遂する「柔軟で機能的なチーム・コラボレーション」を育成するチーム・マネジメントのあり方について、社会心理学的観点から検討し、その実現の現実的方略を提言することを目的としている。 取り組み初年の本年度は、鉄道運輸企業の協力を得て、職務現場でインタビューを行い、過去の問題発生場面における対処過程の詳細な記録を入手して内容分析を行った。加えて、九州一円の特別養護老人福祉施設を対象としてチームによる介護活動の実態を訪ねる質問紙調査を実施した。これらの実証的活動を通して、「柔軟で機能的なチーム・コラボレーション」が、現実場面でどの程度創発されているのか具体的に把握することに取り組んだ。そのうえで、チームレベルの的確な情報処理の促進・阻害変数、失敗発生状況における相互リカバー行動の促進・阻害変数、お互いの役割分担に関する認識(柔軟か頑固か)と相関の強い変数、チームとしての課題遂行能力および問題解決能力(チーム・コンピテンシー)を促進・阻害する変数、さらには、チームを活気づけるチーム・エンパワーメントに関係の強い変数等、に焦点をあてながら分析を行って明らかにした。分析は継続中であるが、注目すべき結果として、チーム・コミュニケーション過程において集団レベルのヒューリスティックスとも呼ぶべき情報処理のショートカット現象が見いだされている。そのショートカットを効果的な(過誤につながらない)形で活用するシステム作りが、柔軟で機能的なコラボレーションを育むチーム・マネジメントを考えるうえで鍵を握るものと見て、検討を進めている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] YAMAGUCHI, Hiroyuki: "The effects of IT revolution on team communication and leader behaviors in a Japanese organization"Kyushu University Psychological Research. Vol.3. 41-48 (2002)
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[Publications] 山口裕幸: "『エミネントホワイト』(第5章 創造的チーム・マネジメント)"小口孝司・今井芳昭・楠見孝(編著)/北大路書房. 240 (2003)
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[Publications] 山口裕幸: "『紛争処理ハンドブック』(第二部第1章 連合形成と紛争解決)"Lewin, H. K, & 和田仁孝(編著)/日本加除出版. 450 (2003)