2002 Fiscal Year Annual Research Report
パフォーマンス・アセスメントによる高次思考能力の測定
Project/Area Number |
14510158
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
平井 洋子 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (40285078)
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Keywords | パフォーマンス・アセスメント / 論理的思考能力 / 批判的思考能力 / 学習スキル / 思考スタイル / 文系の大学生 |
Research Abstract |
今年度の前半は、H13年度に基盤(B)(課題番号11551004、研究代表者:柳井晴夫)にて収集したデータを再分析し、その結果を日本教育心理学会第44回総会にて発表した(2002年10月、発表論文集p371「評定基準の詳しさが評定の信頼性に与える影響について」、単著)。この研究では論述式課題の採点における信頼性を取り上げ、どの程度詳しい評定基準を用意すれば、どの程度の評定者間信頼性が確保できるのかを検討した。3群の評定者(各3名)にそれぞれ異なる詳しさの評定基準を与え、ある論述式課題に対する答案を分析的視点、多角的視点、論理的思考の3側面から評定させた。評定基準を具体的かつ詳細に定めるほど、評定者間のずれが小さくなることが予想された。しかし分析の結果、詳しさを変化させた効果は見られず、どの群の評定者間信頼性も同じような値となった(級内相関係数で.385から.721)。このことから、評定すべき側面の定義が評定者に理解される限り、評定基準はあまり詳しくなくてもよいことがわかった。また、評定者数の効果を調べたところ、論述式課題のような主観性の高い評定の場合、1名の評定者では信頼性が低すぎて実用に耐えないこと、3名用いてもまだ信頼性が十分高いとはいえないことが明らかになった。評定の信頼性を確保するには、評定基準の記述に頼らず、数人の評定者を用いることが重要であるといえる。 今年度の後半は次なる調査の準備を行い、H15.3にデータ収集を行った。この調査では、「論理的思考力」「批判的思考力」「発想力」「論述力」などをみる検査と、「曖昧さへの耐性」「多角的視点」「認知的持続性」という思考スタイルに関する質問紙を実施し、加えて、テーマを与えてプレゼンテーションを行わせビデオに収録したり、他者のプレゼンテーションのビデオを見て質問や議論を行うといった課題を実施した。今回のデータ収集は小規模ではあるが、この結果を来年度早々に分析し、H15年度中に実施する本格的な調査につなげたい。
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