2003 Fiscal Year Annual Research Report
心理療法における言語・非言語行動が心理療法過程と効果に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
14510159
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Research Institution | Yamanashi College of Nursing |
Principal Investigator |
文珠 紀久野 山梨県立看護大学, 看護学部, 教授 (70191070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷崎 和代 鹿児島純心女子大学, 国際言語学部, 助教授 (30269154)
中島 祥子 鹿児島大学, 教育学部, 助教授 (80223147)
安東 清 鹿児島大学, 教育学部, 助教授 (20151201)
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Keywords | Therapy / Therapist-Client関係 / 談話分析 |
Research Abstract |
本研究は、TherapyにおけるTherapistの意図と表現方法が、Therapyにおける言語・非言語行動に与える影響を明らかにすること、熟練度の相違が言語行動に及ぼす影響を分析検討することを目的として実施した。Therapy状況を実験的に構成し、熟練度の異なるTherapist5名(女性)とClient役の5名の女子大学生が1対1での面接を行った。 「主訴」の扱いにおいて、Therapy経験が浅い場合、明るい調子の口調で性急な関わりがみられ、沈黙をさけようとする発言が多く、それにより、Therapyにおける相互作用の成立・継続を妨害する結果となっている。熟練度が高いTherapistの場合、turnを取らずClientの発話を促し、ゆっくりした調子で待っている点に特徴が見られた。Therapistが「傾聴」を意図する場合、turnの交替が少なく、Therapistからの積極的な働きかけが少い傾向がみられた。その影響は、安心感の獲得と、Therapistへの信頼感を感じることが出来るという点に現れている。Clientが話しやすい状況をつくりだそうとする意図を有して関わる場合、Clientの内的状況への柔軟な対応が行われ、Clientは自分に気づけるようになるという点に影響がみられた。熟練度の異なる5人の比較から、(1)熟練度が低い場合はClientの話の内容そのものを扱うが、熟練度が高いTherapistは話の背後にあるClientの感情にも配慮しようとすること、(2)初心者はClientの感情にまで対応できず、中級者は感情に焦点化しようとするが、その扱いは単調となりやすいこと、熟練度の高いTherapistは、Clientの感情を理解するとともに慎重に扱い、Clientの自我に侵入しすぎないようにしていること、(3)使用されるTherapy技法の種類の違いやその適切性に相違がみられることの3点が特徴として見出された。
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