2005 Fiscal Year Annual Research Report
手続き的公正の自己価値性:権威評価におけるSelf-valueモデルの検討
Project/Area Number |
14510174
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Research Institution | Kyoto Koka Women's University |
Principal Investigator |
竹西 正典 京都光華女子大学, 人間関係学部, 教授 (60216926)
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Keywords | 手続き的公正 / 自己価値性 / 関係自尊心 / 関係自己 / 社会的アイデンティティ / 構造方程式モデリング |
Research Abstract |
本研究の目的は、手続き的公正の機能を、集団成員の自尊感情との関連で検討することである。近年、手続き的公正は、公正認知者の社会的アイデンティティを高め、向集団行動を惹起させる結果が得られるともに、認知者の自尊感情を高める可能性が示唆されている。本研究では、手続き的公正が成員の自己におよぼす機能を「自己価値性」と名付けた。この機能は、集団権威の手続き的公正が、成員の関係的自己(relational self, Sedikides, & Brewer,2001)を活性化させ、その結果、個人としての自己利益追求を抑制し、集団のため・他成員のための行動を取ることを指す。この視点から本研究では「手続き的公正のSelf-valueモデル」を構築した。その上で、4年の研究期間で有権者を対象とした2度の調査を実施し、得られたデータを構造法的式モデリング(SEM)により解析、モデルを検証した。本年度は、研究期間の最終年度にあたり、今までに得られたデータの総合的な再解析を行った。その結果、(1)関係自己側面を測定する心理尺度として、関係的存在意義・関係的幸福・社会的自己受容の3成分からなる「関係自尊心尺度」を構成した。(2)さらに、当該集団における権威の手続き的公正が、集団の一員としての社会的アイデンティティを高め、そのことが成員個人の関係自尊心を高める事実を見いだした。(3)加えて、関係自尊心は、個人および集団における既存の自尊心尺度(ローゼンバーグ自尊心尺度、集合自尊心尺度,Crocker & Luhtanen,1990)より、手続き的公正の自己価値性の指標として有効であることを示した。本研究は、権威の手続き的公正が成員の自己価値性を高め、ひとをして内面から社会に結びつけることを示したといえる。さらに本年度は、これらの研究成果を雑誌論文にまとめ投稿した結果、特別論文として社会心理学研究に受理された。
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Research Products
(1 results)