2003 Fiscal Year Annual Research Report
入院経験による価値観・統制感認知の変容に関する研究
Project/Area Number |
14510179
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Research Institution | Meio University |
Principal Investigator |
金城 亮 名桜大学, 国際学部, 助教授 (00279431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高良 美樹 琉球大学, 法文学部, 助教授 (30264469)
東江 平之 名桜大学, 国際文化研究科, 非常勤講師 (80044808)
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Keywords | 入院経験 / 「生き方」に関する態度 / 健康行動に関する自己効力感 / 状態不安 / 情報提供に対する評価 |
Research Abstract |
平成14年度においては、入院患者を対象とした調査票を作成し、実施した。平成15年度においては、比較対照群として健常者に対する同様の調査を実施した。入院患者と健常者の比較を通して、入院経験が患者の人生観ないしは生き方に関する態度に影響を及ぼすようなインパクトをもつ事態であるのかについて検討した。 平成15年3月までに、沖縄県の北部・中部・南部地域の4つの総合病院において、内科・外科・整形外科等に入院中の患者から132件の有効回答を得た。回答者の内訳は、年齢範囲が14〜91歳(平均年齢61.60歳)。性別は男性61名・女性70名。入院時の状況は、救急44名、健康診断後の指示26名、慢性疾患16名、自ら来院12名、その他29名。調査時点までの入院日数は1〜180日(平均32.94日)であった。 さらに、平成15年4月には、入院患者の比較対照群として健常杜会人に対する調査を実施した。有効回答数は104件。回答者の内訳は、年齢範囲が20〜67歳(平均年齢41.60歳)。性別は男性42名・女性62名。 収集したデータについて、入院群を60歳未満(47名)と60歳以上(82名)に分割し、これに健常群を含めた3群の比較をおこなった。因子分析の結果に基づき、「生き方」に関する態度尺度を「自己実現」(3項目)と「人生に対する肯定的態度」(4項目)の2つの下位尺度にまとめた上で、それぞれの下位尺度の平均値を比較したところ、「人生に対する肯定的態度」得点において群間に有意差が見いだされ、入院60歳以上群が入院60歳未満群や健常者群に比べて、人生に対する肯定的態度を持つ傾向が示された。さらに入院患者の健康行動に対する統制感や、疾患に対する積極的対処行動といった自己効力感に影響を及ぼす要因として、入院状況下での状態不安や、医療スタッフからの情報提供に対する評価などを取り上げ、要因相互の関係について詳細な検討を行った。これらの結果については、平成15年度の日本社会心理学会第44回大会において、「入院経験は人生の転機になり得るか?(I)・(II)」として、学会発表をおこなった。 しかし、上記の分析では、入院患者に対する比較対照群として収集された健常者群の年齢構成が入院患者群と著しく異なっていたために、生き方に関する態度や健康行動に関する自己効力感の得点変動が、入院経験によって生じたのか、加齢による効果なのかを分離することができなかった。そこで、平成15年12月に、60歳以上の比較的高齢の健常者(58名)のデータを追加し、入院患者と健常者の年齢構成に配慮した上で再分析を行った。この再分析結果については、平成16年3月に、沖縄心理学会第31回大会において「入院経験が生き方に関する態度と自己効力感に及ぼす影響」として、学会発表をおこなった。 現在は、健康心理学的観点からも総合的な分析・考察をおこないつつ、研究報告書を作成中である。
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