2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510185
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
永野 由紀子 山形大学, 人文学部, 助教授 (30237549)
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Keywords | 農村 / 平場 / 稲作 / 兼業化 / モータリゼーション / 複合化 / 高齢化 / 女性 |
Research Abstract |
平成14年度は、本研究の初年度として、研究テーマに関わる資料や文献の収集をおこなうと同時に、山形県庄内地方櫛引町、愛媛県南予地方宇和島市を対象地として現地調査を実施した。その結果、以下のことが明らかにされた。 全国の農村を都市近郊と平場と山村に地域区分すると、平場では、高度経済成長期に始まる人口減少は1975年までに終わって、以降は横這い状態にある。この間、この地域の農業就業者は減少し続けているが、農家戸数の減少はそれよりはるかに緩慢である。このことは、離農によるサラリーマン世帯化より、兼業化が進んでいることを示している。兼業は、モータリゼーションの進展と地域労働市場の展開によって、出稼ぎから通勤兼業に変わった。平場の稲作地帯では、近郊や山村、果樹・畑作地帯よりはるかに進んでおり、平場の農家の圧倒的多数を占めるのは、第二種兼業農家である。このことは、機械化による稲作作業時間の減少が、兼業化を可能にしていることを示していよう。減反と1997年の米価の暴落は、兼業化を一層深め、離農傾向を促進した。今日、東北の平場の稲作地帯で、農業収入への依存度の高い農家は、基幹作目である稲作に、果樹や施設園芸や畑作や畜産を組み合わせた複合経営農家か、直売所ないしは個人販売や有志による共同販売のグループによって農協の共選・共販とは異なる販売ルートを獲得した農家である。 以上の結果を踏まえ、東北の平場の稲作地帯である庄内地方で、果樹や施設園芸や畑作の複合化が顕著な山形県櫛引町の直売所に参加している農家を対象として、さらに詳しい現地調査を実施し、現在、その結果を分析している。
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Research Products
(2 results)