2002 Fiscal Year Annual Research Report
要介護高齢者の自律性支援をめぐる倫理的諸問題-居宅介護と施設介護の比較研究
Project/Area Number |
14510203
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
沖田 佳代子 愛知県立大学, 文学部, 助教授 (10269095)
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Keywords | 高齢者介護 / 倫理 / 自律性 |
Research Abstract |
本研究は、高齢者の自律性をケアマネジャーがどのように判断し支援するのか、高齢者が置かれでいる介護状況要因の組み合わせと、ケアマネジャーの属性、雇用組織の属性について、各々影響を調べた。 高齢者の自律性に対するケアマネジャーの判断を尋ねる質問項目を作成し、予備調査を平成14年8月から9月にかけて実施した。10人のケアマネジャーから回答を得て、その結果に基づいて調査票の修正を行い、平成14年10月から11月にかけて本調査を実施した。 郵送調査によって、愛知県下の居宅介護支援事業者に所属するケアマネジャー89人から調査票を回収した(132票配布、回収率67.4%)。一機関一人のケアマネジャーに回答を依頼し、89機関から回答を得た。ケアマネジャーの年齢は、29歳から55歳までの範囲で、平均年齢41.3歳。。性別は、82%(73人)が女性で、残り18%(16人)が男性であった。 高齢者本人の介護についての意思決定に対する統制力への支援を、高齢者介護における自律性支援の鍵と捉え、高齢者本人が状況に対して「全く統制力がない」から「完全な統制力がある」の1から5の範囲、5件法でケアマネジャーから回答を得、平均得点が2.97点であった。この自律性支援の平均得点に対するケアマネジャーの属性のもつ影響は、介護福祉士資格の保有者との間で積極的な相関がみられた(r=0.286,p=<0.01,n=89)。また、年齢の高さと自律性支援の平均得点との間でやや積極的な相関がみられた(r=0.186,p=<0.05,n=87)。性別、学歴が大卒か否か、福祉系か否かは、自律性支援の平均得点との間で重要な相関はみられなかった。また、雇用組織の属性のもつ影響も特にみられなかった。高齢者が置かれた状況要因として、認知障害の程度が高い場合に、自律性支援の得点が最も低い平均得点となり(2.43)、認知障害の程度が低い場合に、自律性支援の得点が最も高い平均得点(3.51)となった。
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