地域環境問題における住民参加と専門家役割に関する社会学的研究

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14510204
• Research Institution: Kyoto Prefectural University
• Principal Investigator: 野田 浩資 京都府立大学, 福祉社会学部, 助教授 (60250255)
• Keywords: 住民参加 / 地域環境 / 専門家役割 / ボランティア / パートナーシップ / NPO・NGO

Research Abstract

1.住民参加型で地域環境保全に取り組んでいる滋賀県守山市、横浜市鶴見区、滋賀県甲良町、京都市西陣地区において現地調査を継続し、地域特性と住民参加の様式の異なる事例研究を進めることによって比較・分析を進めた。
2.滋賀県守山市に関しては、共同研究の成果を論文としてまとめた。「地域環境ボランティア組織における自立と連携」(『環境社会学研究』第8号)において、住民ボランティア組織が、「自立的活動」と「連携的活動」という2つの活動の方向性をめぐる内部対立を起こし、その後、2つの活動の方向性を両立させたプロセスについて明らかにした。
3.横浜市鶴見区のM公園に関しては、第75回日本社会学会「パートナーシップの形成過程:都市公園再整備への住民参加を事例として」(大阪大学、2002年11月17日)において報告を行い、公園という都市コモンズにおける住民ボランティアと行政の間でのパートナーシップ形成のプロセスを明らかにした。ワークショップを契機とした住民の集団が、行政との「連携」と住民側の「自立」という両立困難な2つの方向性を抱えこみながら活動を展開し、NPO組織として成長しつつある。
4.住民参加の現場における住民、行政、専門家の三者の関係形成は、様々な矛盾とコンフリクトを抱えている。今後は、住民参加の制度化に伴う組織論的問題点に関して、特に自立と連携のディレンマを抱えた流動的な住民参加の現場に専門家がどのように関与することが可能か、さらに事例研究を重ねるとともに理論的考察を進めていく。

Research Products

• [Publications] 塚本利幸, 霜浦森平, 山添史郎, 野田浩資: "地域環境ボランティア参加と生活経験"福井県立大学論集. 21号. 39-55 (2002)
• [Publications] 霜浦森平, 山添史郎, 塚本利幸, 野田浩資: "地域環境ボランティア組織における自立と連携"環境社会学研究. 8号. 151-165 (2002)