2003 Fiscal Year Annual Research Report
在宅失語症患者の日常生活状況と家族の介護負担感についての継時的研究
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14510207
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Research Institution | Hiroshima Prefectual College of Health Sciences |
Principal Investigator |
綿森 淑子 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (00073023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相楽 多恵子 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (60336922)
本多 留実(野上 留実) 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助手 (10290553)
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Keywords | 失語症 / 介護負担感 / 質的研究 |
Research Abstract |
高齢障害者の介護負担感については,様々な評価やモデルが考えられているが,これらは痴呆性高齢者を対象とするものがほとんどで,失語症があることが介護の負担感にどのように反映するかについては解明されていない。従来使われてきた理論を元に仮説を作る場合,「失語症」特有の問題を捨象してしまう可能性があること,また介護負担感のような主観的な問題の仮説の形成には「ある事象が当事者にとってどのような意味をもつのかを本人たちの視点から明らかにする」(高橋,2000)ことが必要であると考え,今年度は介護者の生の声を収集し,分析し,介護負担感評価票(試案2)を作成した。 方法 (1)ノミナルグループによる介護者の意見の収集:脳血管障害の後遺症としての失語症者を介護する主たる介護者3グループ計20名を対象にどのような場面で負担感を感じるかについてグループでの検討を行い,意見を聴取した。 (2)非失語片麻痺者の家族への個別インタビュー:身体的には失語症者と同側(原則は右側)に麻痺があるが言語障害を有しない脳血管障害後遺症者の介護者6名を対象に個別に負担感について聴取した。 (3)(1)、(2)で得られた生の資料をグラウンデッドセオリーアプローチにより分析し,データを分類し,概念の形成を行った。このような質的研究により抽出された概念とその元となった意見とその文言を吟味し,さらに先行研究や他の障害の場合の介護負担感の評価票を参考に介護負担感評価票(試案1)を作成した。 (4)ノミナルグループの参加者など失語症者の家族に介護負担感評価票(試案1)を実施してもらい,わかりにくい表現などの修正に関して意見を聴取した。 (5)これらの意見をもとに再度質問項目の整理を行い介護負担感評価票(試案2)を作成した。 次年度は本評価票(試案2)を用いて,全国各地の失語症者と非失語片麻痺者の家族を対象にパイロットスタディーを実施し,項目の内部一貫性,妥当性を調べるとともに,身体状況,ミュニケーション状況などとの関係について分析する予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 綿森淑子, 小林久子, 本多留実, 相楽多恵子: "在宅失語症者の家族の介護負担感-アンケート調査報告-"広島県立保健福祉大学誌 人間と科学. 4巻1号. 75-85 (2004)