2004 Fiscal Year Annual Research Report
在宅失語症患者の日常生活状況と家族の介護負担感についての継時的研究
Project/Area Number |
14510207
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Research Institution | Hiroshima Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
綿森 淑子 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (00073023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 留美 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助手 (10290553)
相楽 多恵子 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (60336922)
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Keywords | 失語症 / 介護負担感 / 基本的ADL / 手段的ADL(IADL) |
Research Abstract |
コミュニケーションは生活のあらゆる場面で必要な基本的活動であり,その障害は家族の介護負担感に反映すると考えられるが,既存の介護負担感評価票(以下,負担感評価)にはコミュニケーション障害が十分反映されていない。昨年度我々はコミュニケーション障害への負担感を含めた負担感評価を開発した。今年度は脳血管障害後遺症による失語症者を介護する家族(以下,失語家族)の特徴を,利き手側の片麻痺があるが失語症などの言語障害のない人の家族(以下,非失語家族)と比較し,検討を行った。 【方法】 昨年度新たに開発した31項目から成る5件法による介護負担感評価を用い,全国15箇所の病院や施設のSTを通して失語家族59例,非失語家族37例から協力を得て調査を行った。調査内容は,介護負担感評価,身体介助状況,コミュニケーション状況であった。 【結果】 (1)身体介助状況に関しては当事者の基本的ADLに関わる介助状況には両群間に差がなかった。 (2)手段的ADL(IADL)面では失語家族の介護状況が有意に重かった。 (3)負担感評価の各項目と対象者の続柄,健康状態などの基本属性の関係では,続柄以外の基本属性及び全般的負担感を問う項目には差がなかったが,項目別に見ると失語家族は体調への不安や役割負担に加え,意思伝達に関わる負担感や当事者のつらさを思いやるという項目で負担感が有意に強かった。 (4)失語症の重症度は,全般的負担感や介護者の急病への対応の不安などと関連があった。 【結論】 非失語家族に比べ,失語家族では体調不安や家庭運営の責任がより重く,コミュニケーションの情報交換面と当事者の意思を推測し気持ちを察するという人間関係の上での負担感がより重く存在することがわかった。
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