2003 Fiscal Year Annual Research Report
地上放送デジタル化に伴う地域格差、世代格差是正に関する研究
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14510209
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Research Institution | SIEBOLD UNIVERSITY OF NAGASAKI |
Principal Investigator |
香取 淳子 県立長崎シーボルト大学, 国際情報学部, 教授 (90269259)
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Keywords | 地域格差 / 情報インフラ / コミュニケーション政策 / 市場規模 / ブロードバンド / デジタルテレビ / 教育機会 / 就業機会 |
Research Abstract |
昨年度の研究成果を整理し、関連文献と照合した上で、今年度は市場規模の観点から地域格差に焦点を当てて調査研究を進めることにした。というのも、今年度12月は三大都市圏で地上波デジタル放送が開始されるが、東京以外はビジネスとして成立するかどうか不安視されていたため、市場という観点から地域格差を捉える必要があると考えたからである。 そこで、日本国内では、(1)中部日本放送(名古屋)、(2)毎日放送(大阪)、(3)テレビ東京(東京)のデジタル開発領域の担当者に聞き取り調査を行った。名古屋、大阪は東京に比べマーケットとして脆弱なため不安要素をかかえており、さまざまなビジネスモデルが模索されていた。東京ではデジタル放送が開始された直後に聞き取り調査を行ったが、民放はアナログ波との混信を避けるため出力を弱くしていたこともあって視聴者からの苦情が絶え間なかった。立ち上げの労苦は経営基盤の弱いところほど大きいというのが総じての印象であった。 一方、オーストラリアでは、(1)ブリスベンでアボリジニ出身者に聞き取り調査を実施し、地域格差の何が問題なのかを尋ねたところ、教育機会の差異が生じるからだといわれた。そこで、(2)ヴィクトリア州を対象地区とし、州都メルボルン、地方都市バララット、田舎町メリバラ、さらに奥地、等々の出身者6人に聞き取り調査を実施した。その結果、地方都市でも情報インフラの整備されているところでは都会と遜色のない暮らしができることが確認された。教育機会も就業機会もショッピング機会も大きな差異はない。人々は満足して暮らしていたのである。また、(3)パースでも同様の聞き取り調査をした結果、オーストラリアでは農産物や鉱物を産出する地方を政治が保護しており、僻地でもないかぎり都会と大差ない情報環境だということが判明した。 各地でデジタルテレビについて尋ねてみたが、昨年度と同様、誰も所有しておらず、依然として普及は進んでいなかったが、スゥインバーン工科大学のバード氏に聞き取り調査をすると、HDTVは少しずつ普及しはじめており、軌道に乗りつつあるとの認識であった。本年度の聞き取り調査の結果からは以下の知見を得られた。 1.依然として地域格差はあるが、徐々に縮まっている。 2.情報インフラの整備された地域は地方でも都会と遜色のない生活ができる。 3.新規メディアの導入政策は長期的視点で行う必要があり、オーストラリアはかなり成功している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 香取淳子: "オーストラリアにおけるコミュニケーション政策と地域格差"県立長崎シーボルト大学国際情報学部紀要. 第4号. 43-56 (2003)
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[Publications] 香取淳子: "デジタル化-再びメルボルンから"放送レポート. 182号. 64-68 (2003)
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[Publications] 香取淳子: "高齢者とデジタル化"放送レポート. 183号. 66-70 (2003)
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[Publications] 香取淳子: "放送主体のビジネスモデルを"放送レポート. 184号. 64-68 (2003)
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[Publications] 香取淳子: "新ビジネスへの難関"放送レポート. 185号. 62-66 (2003)
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[Publications] 香取淳子: "デジタル先進国・韓国"放送レポート. 186号. 62-66 (2004)