2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510216
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鹿又 伸夫 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (30204598)
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Keywords | 階層 / 世代間移動 / 移動機会 / 機会不平等 / 世代内移動 / ロジスティック回帰 / 地位継承レベル |
Research Abstract |
世代間移動にかんするロジスティック回帰の応用モデルを考案し、分析を進めた。このモデルは、各階層の分布変動および地位継承機会レベルの変動について、それらの変化が時代、コーホート、加齢のいずれにしたがうかを分析できる。また、そのため、とくに後者の地位継承レベルについて、従来使用されてきた統計モデルよりも、より精確な推定が可能となった。 今年度はとくに、父階層から現職階層までの世代間移動が、父階層から初職階層までの移動(初期移動)とそれにたいする世代内移動の影響から構成される、という概念枠組を構築し、それにしたがった分析を進めた。その結果、世代内移動が初期移動の継承レベルを低下させる平等化作用をもっていたことが明らかになった。この継承レベル低下の主な要因になっていたのは、高度経済成長期以降の労働市場の構造的圧力、つまり農業従事者から雇用ブルーカラーへの移動を促進する圧力であった。これらの知見は、父階層から現職階層までの地位継承レベルが、その強制移動効果(初職と現職の分布の相違)を除去しないままの世代内移動に影響されていたことを明らかにした点において重要であった。つまり、従来の移動表分析で行われてきた強制移動効果(父階層と現職階層の分布の相違)の統制じたいが疑問視される結果になったのである。 他方で、上の応用モデルをさらに展開し、カテゴリー変数をもちいた地位達成分析も試みた。初職達成の分析に応用した結果、若い出生コーホートほど、その初職階層が本人の学歴に決定される層が増大してきており、1960年代出生ではほぼ95%に達しているという結果が得られた。
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Research Products
(1 results)