2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510223
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
池田 寛二 法政大学, 社会学部, 教授 (60144622)
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Keywords | 京都議定書 / クリーン開発メカニズム / 政府開発援助(ODA) / 企業の社会的責任(CSR) / 地域発信型温暖化対策 / サブシディアリティの原理 / グローバルな環境正義 |
Research Abstract |
1)『地球温暖化政策年表』(仮題)の作成とデータベース化の作業はほぼ完了の見通しがついてはいるが、2005年2月の京都議定書発効以降、MOP(京都議定書締約国会議)参加国はもとより、米国のような非参加国も含めて様々な動きが活発化しているため、少なくとも2005年11月末から12月初旬にモントリオールで開催されたCOP/MOPの成果と課題およびその各国の国内環境政策への影響についてデータをとりまとめるのに、もうしばらく時間を要する。 2)海外の現地調査は、結局インドネシアでしか実施できなかったが、京都議定書発効前後からすでに始まっていたEU諸国を主とするクリーン開発メカニズム(CDM)による二酸化炭素排出削減のための様々なプロジェクトが急速に活発化している現状を詳細に明らかにすることができた。また、その結果、今まさに政策転換の途上にある日本のODAが、CDMとの関連では明らかにEU諸国より出遅れているという問題点も浮き彫りにできた。しかし、インドネシア側では、企業の社会的責任(CSR)の一環としてCDMを活用した資本と技術の支援を日本に強く期待していることも明らかになった。いずれにせよ、京都議定書にはグローバルな環境正義という政策理念が内在していることを実証できた。 3)温暖化対策の国内政策については、京都議定書発効後もまだ必ずしも明確な政策の方向付けができておらず、政府部内(特に環境省と経済産業省や国土交通省)にも、政府と産業界の間にも、政府と地方自治体の間にも、自治体相互の間にも、政府や自治体と市民社会の間にも、温暖化対策への取り組みにかなりの温度差が広がりつつあることが明らかになった。だがその中で、兵庫県加美町丹治地区の林業再生と一体化した地域発信型の温暖化対策には大きな可能性が認められた。その結果、温暖化防止政策における「サブシディアリティの原理」の重要性が実証できた。
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Research Products
(2 results)