2004 Fiscal Year Annual Research Report
小学校における遊びの相互作用を規制する構造と「隙間的遊び」の関連に関する研究
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14510246
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Research Institution | SEINAN JO GAKUIN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
杉谷 修一 西南女学院大学, 保健福祉学部, 助教授 (70253375)
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Keywords | 隙間的遊び / ルーティン / 予期 / 焦点化された相互行為 / 周辺的相互行為 / 拡散的な会話場 |
Research Abstract |
集団遊びにおける「隙間的遊び」が、どのような形で相互行為としての遊びの外部と関わっているのかを考える際には、遊びの境界自体の特性を考慮する必要がある。それは、観察者の恣意を排除することが可能であるという前提に立つ作業ではなく、遊びを把握する枠組みを固定化せず、変化や逸脱という遊びの特徴に焦点をあてるものである。 隙間的遊びは当初、一連の相互行為の中に短時間出現する、基盤となる遊びとは異なった性質を持つ遊びの様態を記述する為に構想された。しかし、具体的な遊びの場面を分析していくと、隙間的遊びが、基盤となる遊びの流れに挿入される側面だけにはとどまらないことが明らかになった。それは単一のルーティンを分析単位とするのではなく、複数のルーティンが相互に影響し合ってより大きな遊びの流れを構成するというレベルでも検討される必要がある。すなわち、特定ルーティンを中核とする単一の遊びの中に、隙間的遊びがくさびとして出現するのは、背景に隠れてはいるが、同時に進行している別のルーティンに属する遊びの現れであるという捉え方が求められるのである。 拡散的な会話場の概念は、観察者にとって予想外の広がりをもつ相互行為場面を把握しようとする。その際、参加者にとってはある種の予期が不可欠となる。遊び場面においても、ゲームという単一ルーティンに収斂する予期ではなく、全く別のルーティンへの対応を可能にする予期が必要となる。このような種類の予期は、焦点化された相互行為部分と周辺的部分が相互に影響し、変化するプロセスへの参加にとって重要な能力となる。 さらに、隙間的遊びは参加者に対してもくさびとして注意を喚起する性質を持っている。隙間的遊びの担当者からすれば、隙間的遊びはパフォーマンスであり、遊びのルーティンに何らかの変更を迫る能動的行為だと言える。
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Research Products
(1 results)