2004 Fiscal Year Annual Research Report
季節労働の供給変化と労働力送出地域社会の構造変動に関する社会学的研究
Project/Area Number |
14510248
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Research Institution | Akita Keijo Junior College |
Principal Investigator |
石川 雅典 秋田桂城短期大学, 地域社会学科, 助教授 (90289752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野澤 章子 岩手県立大学, 社会福祉学部, 講師 (30291850)
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Keywords | 季節労働 / 出稼ぎ / 沿岸漁業 / 地域社会 / 雇用保険短期特例制度 / 北海道 |
Research Abstract |
今年度は、前年度末に道南の椴法華村(平成16年12月1日に函館市へ編入合併)で実施した郵送調査(以下、調査)の集計・分析と、現地への中間報告ならびに補充調査、および関連資料の収集を行った。 椴法華村における近年の季節・出稼ぎの供給変化は、 1、採用側の環境変化、ことに年齢制限や通年就労に対する採用側の要求が就労者減少の主因となっている。調査によれば、ことに公務員と漁業従事者とがここ数年の季節・出稼ぎの減少とその要因を認知し、また村の職業援護資料には、従来の建設事業所への就労者の減少とグループ就労の小規模化・個人化が年次別に明示されている。小規模化・個人化は、季節・出稼ぎを構成してきた地縁関係の変容を意味している。一方、従来とは別の建設事業所からは求人情報が寄せられていて、所謂需給のミスマッチがおきている面もある。このことは、 2、就労者の高齢化、つまり季節・出稼ぎの供給母体の衰微を意味する。これは、近年の船外機と漁協組合員数の減少、ことに30歳未満の組合員数の急減、そして調査や2000年国勢調査に示される20代・30代の職業構成と重なる。つくり育てる漁業が定着する一方、家族・近親単位による機械化された収穫中心の漁業経営が展開する中で、漁獲量と漁獲高の変動により漁業収入が基本的に安定性を欠くことは、10t級動力船以外の層を中心に、漁業からの段階的離脱と常住人口の流出をもたらしてきた。換言すれば、世代間で職業としての漁業を選択しない/させない状況を生んできた。調査によれば、在村する20代、30代は村の活気をほとんど経験しておらず、地域への関心や住み心地に対する評価も相対的に低い。一方、この村で高校進学が常態化したこの世代は函館市中心部との選択的社会関係のネットワークが充実している。就労者の高齢化は、沿岸漁業の展開と若年層の流出やライフスタイルの変化を局地的に映し出したものである。
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Research Products
(1 results)