2003 Fiscal Year Annual Research Report
ロシアの労働・ポリテフニズム教育史に関する実証研究
Project/Area Number |
14510255
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
所 伸一 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50133682)
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Keywords | 教育の歴史 / ソヴィエト・ロシア / 労働教育 / ポリテフニズム教育 / クループスカヤ,N.K. / 教授法 / カリキュラム / 社会主義教育 |
Research Abstract |
【1】本研究は、資料開発面では、ロシア現地においてカリキュラム資料と新聞を入手し、さらにアルヒーフ(公文書館)で関連理論と政策形成にかかわる資料を探求すること、教育史の新解釈の面では、1920年代末-30年代初のソヴィエト・ロシアにおける労働・ポリテフニズム教育の動的な展開を、とくに社会主義的学校の確立を打ち出した歴史的決定と言われてきた1931年9月の党決定前夜までにおいて、明らかにすることを目的とした。計画最終年の本年度は第二次調査の実施と成果のとりまとめを課題とした。しかし現地調査は海外共同研究者の機関との調整不調により12月に行わざるを得なかったため、研究成果のまとめと公表は主に第一次調査の成果に基づいて行われた。これは学会発表(2003年8月)と、大学紀要論文(2003年12月刊)に結実した。 【2】本研究の結果この期の教育史は次のように理解可能になった。スターリンの勢力は1930年秋に学校のポリテフニズム化の名の下、学校と企業に提携契約と生産実習を義務づけたが、これはプロジェクト教授法の推奨と相まって、授業崩壊の状況をまねく。正統ポリテフニズム派においては系統的な授業の必要が認識され、30年末からその説得が展開される。座学の学校を非難してきた教育学「左派」は31年4月までには内部分裂をおこし或いは中央派に転じる。この頃からスターリン派の教育人民委員は学校の独自の役割、学力の形成、教師の仕事が重要だと主張するに至る。1931年9月の党決定はこの流れに乗った、「近代学校」の確立をめざすものだったと解される。 【3】モスクワ調査を12月に実施した。当地の共同研究者から文書館利用と労働教育史研究動向に関する情報を入手し、また、教育学図書館において数次にわたるカリキュラム資料を発掘し、教育アカデミー付属アルヒーフにおいて当時の研究所活動の資料ファイルを撮影した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 所 伸一: "スターリン改革と「学校ポリテフニズム化」政策について"北海道大学大学院教育学研究科紀要. 86. 303-327 (2002)
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[Publications] 所 伸一: "ソヴィエト以後ロシアの教育史研究の動向"日本の教育史学(教育学会紀要). 45. 303-311 (2002)
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[Publications] Синъити Токоро(所 伸一): "Свобода русских школ до революции"Философско-исторические основы общего образования в России. М., РАО Институт теории образования и педагогики. 318-324 (2002)
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[Publications] 所 伸一: "1931年党中央委決定前夜のロシアにおける「学校ポリテフニズム化」政策"北海道大学大学院教育学研究科紀要. 91. 1-24 (2003)