2004 Fiscal Year Annual Research Report
占領下における教職追放政策の変化と教育における「逆コース論」の検証
Project/Area Number |
14510256
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
明神 勲 北海道教育大学, 教育学部・釧路校, 教授 (10113680)
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Keywords | 逆コース / 占領期教育史 / レッド・パージ / 占領政策 |
Research Abstract |
1.東京都における教員レッド・パージの実施過程とその影響の分析を行い、以下のことを明らかにした。 (1)法務府特別審査局は東京都の公立学校内の共産党員の動向をほぼ完全に掌握しており、レッド・パージにおいてその約60%を追放した。また、不適格教員として追放した246名のうち約82%が共産党員であり、「教育刷新」の名の下に行われた処分はレッド・パージとしての性格を有するものである。 (2)レッド・パージを通じて組合内の勢力配置が大きく変化し、教員組合の反共化・労使協調化の傾向が強まった。それは東京軍政部・民事部が描いていた民主的教員組合像であり、彼らの立場からすると「逆コース」ではなく教育民主化の具体化であった。 2.1948年〜1950年の地方軍政部・民事部文書の分析を通じ、東京都における教育改革の展開過程とその変化の分析を行い、以下のことを明らかにした。 (1)軍国主義的要素の排除、学校再編=「6・3・3制」の具体化、教員の資質向上・再教育の展開、教育委員会制度の定着化、PTAの育成、社会教育の推進などの領域においては、継続性が明白であり政策の変化や「逆コース」現象は認められない。 (2)他方、教員組合や共産主義対策の領域においては、一定の変化が認められる。年々、規制と反共化の攻勢が強化されているが、それは突然登場したものではなくその芽は既に1948年に存在していた。 (3)この間の基本的性格は、レッド・パージの実施ということがあったにもかかわらず、教育における軍国主義の排除・教育民主化の展開過程として特徴づけることができる.
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Research Products
(3 results)