2004 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカの大学経営におけるマーケティングに関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
14510259
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐野 享子 筑波大学, 大学院・ビジネス科学研究科, 助教授 (10334020)
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Keywords | マーケティング / 統合モデル / 顧客の価値 / 組織のミッション / 非営利マーケティング |
Research Abstract |
アメリカの大学経営におけるマーケティングの理論は、フィリップ・コトラーの理論を基底とし発展してきた。昨年度まではこのコトラーの理論枠組と今後の理論の方向性について検討してきたが、最終年度である今年度は、これまでの成果を踏まえ、コトラー以外の大学経営に関するマーケティングの研究成果を整理・分析することを通じて、アメリカの大学経営におけるマーケティング理論と実践の動向と方向性について検討を行った。 アメリカの高等教育においては、従来パブリック・リレーションを拡張したマーケティング・モデルが用いられてきたが、パブリック・リレーションとマーケティングとが共生する関係が増大することにより、両者が統合されたモデルでマーケティングの実際を捉える方法が効果的であるとする見方が、今日有力と思われる。 またマーケティングの具体的な手法として有効なものとしては、顧客のあらゆる要望に応じるのではなく、顧客が価値を置くインセンティブを与えることによって顧客を組織のミッションに参加させるといった、非営利組織に共通して採用しうるマーケティングの手法を、大学経営に採用することが有効であると思われる。企業組織における理論を援用したコトラーの顧客ニーズ充足型のモデルでは限界があることを考えると、組織のミッションの達成と多様な顧客の満足を同時に満たすことを可能にする非営利マーケティングのモデルを応用する方向が、今後一層重要になってくるであろう。
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Research Products
(1 results)