2002 Fiscal Year Annual Research Report
高機能広汎性発達障害児の就学前と学齢期における発達経過と教育的援助に関する研究
Project/Area Number |
14510270
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
別府 哲 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (20209208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻井 正次 中京大学, 社会学部, 助教授 (20257546)
池谷 尚剛 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (70193191)
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Keywords | 高機能広汎性発達障害 / 社会的相互作用 / 幼児期 / 発達経過 / 愛着 |
Research Abstract |
就学前から就学を迎える時期まで、発達経過を5名の高機能自閉症児において、前視方的に追跡研究を行った。5名については、年4回の発達検査(新版K式発達検査による)と、その際の母親からの聞き取り(その時期の問題行動、保育所や幼稚園での仲間関係、集団活動の特徴など)を行い、資料収集した。これについては、発達の中で、4歳ころに、DQ(発達指数)が大きく伸びる時期があること、その際に多くは「認知-適応領域」で時期的に先行して伸びがみられ、その後で「言語-社会領域」のDQが伸びることを交互に繰り返すことが示された。なお、そのDA(発達年齢)における子どもの生活上の特徴や問題行動との関連は現在、検討中である。また、1事例について、上記の資料にくわえ、療育施設での集団療育のビデオ記録と個別指導記録(おのおの月1回の記録を3年間分)、そして保育所と家庭での連絡帳による記録を収集し、その発達経過を特に社会的相互作用の質(毎親、保育士、個別指導の指導員に対しての)に焦点をしぼって分析した。その結果、母親・保育士・個別指導の指導員の3者いずれにおいても、社会的相互作用において、「第1期:相互作用が成立しない時期」→「第2期:相手の指示を求め、指示にしたがって行動する時期」→「第3期:挑発行為を頻発し、相手の反応を引き出すことを繰り返す時期」→「第4期:やりとりそのものを楽しめる時期」という発達経過を示すことが明らかにされた。ただし、この3者間で、この発達レベルに到達する時期に違いがあることも示された。単一の大人との関わりではなく、質の違う複数の場面で複数の大人との関わりを持つことが、高機能広汎性発達障害児の社会的相互作用をうながす要因となることについて検討した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 別府哲: "自閉症児と共同注意-他者理解、愛着対象の形成との関連から 発達"発達. 92. 16-22 (2002)
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[Publications] 駒田閑子, 別府哲: "高機能自閉症児の幼児期における愛着の発達"日本発達心理学会第14回大会発表論文集. 14. 353 (2003)