2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510284
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
生田 周二 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (00212746)
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Keywords | 人権教育 / 地域性 / 民族 / エンパワメント / 文化 / 偏見 / 差別 |
Research Abstract |
本研究の目的は、人権教育の他の近接領域との相関、並びに諸外国における人権教育の理論と実践を踏まえ、日本的性格及びその発展の展望を考察することにある。今年度は、近接領域についてはアイヌ民族・文化教育との相関について、諸外国の人権教育についてはドイツの民族的マイノリティの歴史と動向、並びにドイツの人権教育の動向について検討した。 アイヌ民族・文化教育については、6月と9月に北海道において「アイヌ民族・文化教育と人権教育に関する調査」を実施した。対象地域は、旭川市と札幌市である。調査では、アイヌ民族の自立と言語・文化学習に関する関連と、その剥奪の歴史の捉え直しへの取り組みについて資料収集を行った。 ドイツの民族的マイノリティの調査は、3月から4月の約2ヶ月間と、9月下旬から10月始めの約2週間ドイツに滞在し、ソルブ、デンマーク、フリース、シンティ・ロマのそれぞれに関する現地調査を行った。マイノリティの言語と文化の保持・発展のために、学校と地域における取り組みの状況を調べるとともに、問題状況の差異について歴史的に検討した。ドイツの人権教育については、最近設立されたドイツ人権研究所とマグデブルク大学、ベルリン工科大学を訪問し、それぞれの研究所、大学での取り組みの一端について資料収集するとともに、人権教育の現状と課題について意見交換した。より詳細な検討は、来年度の課題となる。 以上、今年度は、日本国内の問題と、ドイツを中心に比較検討したが、来年度以降は、ドイツの人権教育とEU並びに国連の人権に関わる教育政策を中心に検討する。またそれと同時に、研究目的である、日本国内の地域による人権教育の重点の異同、欧米・アジア諸国の人権教育との比較という内外の相対化のもとに、研究を実施する。
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[Publications] 生田周二: "マイノリティ-ドイツや国連での議論の一端-"月刊社会教育. 571. 4-13 (2003)
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[Publications] 生田周二: "人権をめぐる教育・学習(第1回)-フィリピンの人権教育の一端(1)-"人権21-調査と研究-. 162. 4-11 (2003)
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[Publications] 生田周二: "人権をめぐる教育・学習(第2回)-フィリピンの人権教育の一端(2)-"人権21-調査と研究-. 163. 18-26 (2003)
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[Publications] 生田周二: "人権をめぐる教育・学習(第3回)-アイヌ民族をめぐる教育と課題(1)-"人権21-調査と研究-. 164. 72-79 (2003)
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[Publications] 生田周二: "人権をめぐる教育・学習(第4回)-アイヌ民族をめぐる教育と課題(2)-"人権21-調査と研究-. 165. 50-57 (2003)
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[Publications] 生田周二: "人権をめぐる教育・学習(第5回)-アイヌ民族をめぐる教育と課題(3)-"人権21-調査と研究-. 166. 39-48 (2003)
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[Publications] 生田周二: "人権をめぐる教育・学習(第6回)-アイヌ民族をめぐる教育と課題(4)-"人権21-調査と研究-. 167. 49-57 (2003)
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[Publications] 生田周二: "ドイツにおけるマイノリティ問題と人権教育"人権と部落問題. 705. 66-70 (2003)
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[Publications] 生田周二: "人権をめぐる教育・学習(第7回)-ドイツのソルブ民族をめぐる教育と課題(1)-"人権21-調査と研究-. 168. 52-61 (2004)