2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14510289
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山中 芳和 岡山大学, 教育学部, 教授 (30144794)
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Keywords | 幕末維新期 / 教育思想 / 国学者 / 学校論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、幕末維新期における国学者による学校論の教育思想史的展開を、次の三点に即して意義づけることにある。(1)国学者の思想の全体構造を、思想形成の契機となった歴史的諸条件とのかかわりにおいてとらえ、(2)その構造の中に、教育に関する言説を位置づけ、(3)それとの関連において学校教育構想の思想史的特質を明らかにする。対象とする主な国学者は、六人部是香、大国隆正、鈴木雅之、矢野玄道の四人である。 文献資料による歴史的・実証的な研究である本研究においては、史料の調査・収集が基礎作業となる。研究の2年次である本年度においても、1年次に引き続き、『長歌篶廼木綿』(六人部是香の伝記的事実を明らかにしうるもの)など、史料の調査収集を行うとともに、上記の研究目的に沿って史料の分析・考察を進めた。 六人部是香については、前年度にその思想の特質が、「顕幽論」と「産須那信仰論」にあることを指摘したが、本年度は是をさらに分析するとともに、これらの言説の淵源である平田篤胤の国学思想にも注目した。十九世紀の幕末社会に大きな影響を及ぼす篤胤の思想の特質は従来、『霊の真柱』を中心に論じられることが多かったが、本研究においては篤胤思想の出発点ともいえる『呵妄書』に着目し、後年の神道理解の萌芽的な特質がすでにこの書に見られることを確認するとともに、その一端が六人部などに受け継がれていくことを明らかにした。
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