旧制中等学校における定期試験と進級制度に関する実証的研究

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14510306
• Research Institution: Gakushuin University
• Principal Investigator: 斉藤 利彦 学習院大学, 文学部, 教授 (20178495)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 井澤 直也 宝仙学園短期大学, 保育学科, 教授 (30299953)
• Keywords: 旧制中学校 / 定期試験 / 進級試験 / 旧制実業学校 / 高等女学校 / 中等教育 / 成績評価 / 学校一覧

Research Abstract

旧制中等学校の「進級試験」制度に関しては、実業学校では中学校と同等の試験規定があったものの、高等女学校令施行規則(1900年)では「各学年ノ課程ノ修了ヲ認ムルニハ平素ノ成績ヲ考査シテ之ヲ定ムヘシ」(第三三条)として、「平素ノ成績」のみが進級要件とされていた。これらの各中等学校間の進級規定とその運用実態の異同を比較検討することにより、それぞれの特質もより浮きぼりにされる。こうした観点から、まずはこれまでの専門領域との関係で、主に斉藤が中学校、井澤が実業学校の資料収集を分担し、分析を進めた。
具体的には、まずは、府県教育史や県史資料室所蔵文書等を調査し、府県レベルの「中学校規則」等における定期試験と進級制度に関する規則を収集・分析している。
次に、定期試験や進級制度に関する具体的な態様として、各中等学校の「学則」「校規」「内規」レベルの規定を、『学校要覧』『学校一覧』『学校年報』等の各中等学校で編纂された刊行物を対象として分析を進めている。
さらには、以上のような「中学校規則」「校規」レベルでの資料では、実際の運用の状況や進級判断の具体的な手続きやプロセスを十分に解明することは困難である。そのため、いくつかの中等学校の「校内保存資料」として所蔵されている「教務関係資料」「進級判定会議資料」「成績関係資料」等の検討も行っている。例えば、近江八幡商業の「校内保存資料」である。今後、こうした保存表簿を調査分析し、比較検討することによって、これら制度の類型や特質を抽出していくことを目ざしている。
なお、高等女学校に関しては、今年度は未調査のままである。