2003 Fiscal Year Annual Research Report
「学制」以前における国民皆兵思想とプロイセン学校教育制度への傾倒
Project/Area Number |
14510309
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
熊澤 恵里子 東京農業大学, 教職・学術情報センター, 助教授 (90328542)
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Keywords | プロイセン / 国民皆兵 / 大学規則 / 公教育 / フォン・ブラント / 愛国心 / 国家論 / 義務教育 |
Research Abstract |
本研究は、明治初年にわが国ですでに国民皆兵を視野に入れた複線型の近代学校教育制度の構築を目指していたことを明らかにすることを目的としており、前年度に引き続き海外文献調査と国内文献調査の二本立てで研究を進めた。本年度の海外調査は、平成16年3月7日から3月18日の12日間、ドイツ・ベルリンの(1)外交資料館、(2)国立文書館、(3)日独センターおよびイギリス・ロンドンの大英博物館において行った。当初の研究計画では、ドイツ・フライブルク国立文書館、フランス・パリ国立文書館でも調査を実施する予定であったが、日程の関係上に加えて、事前の史料請求によりドイツ・外交資料館において幕末維新期に来日した公使フォン・ブラント、ケンペルマンの履歴等個人別のファイルが見つかったため、ドイツ・ベルリンでの調査を重点的に行った。 国立文書館では軍事関係の文献調査を中国関係文書にまで広げ、幅広く閲覧を実施し、対アジア政策の一環として将来の外交官の人材である"Student Interpreter"(通訳補)試験の内容から高度な一般教養を持った者が派遣されたことが裏付けられた。日独センターでは幕末維新期に来日したプロイセン/ドイツの知識人の日本人観、学校観、教育観に言及した文献(MOAGの文献を含む)を検討した。イギリスの大英図書館における文献調査では、国民皆兵と天皇制の関連性について言及したMOAGの論文を複写した。ベルリン・外交資料館のファイルはデジタルカメラおよび後日複写により採集した。 国内調査では、幕末維新期における知識人の国民皆兵思想に関する文献調査を福井市立郷土歴史博物館所蔵文書および福井県立図書館所蔵文書、宮内庁書陵部所蔵文書により実施し、海外列強を意識した国づくりが松平慶永、西周をはじめ知識人により検討されていたことを明示する文章を収集、分析した。
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