2002 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本の高度経済成長過程における教育計画策定過程に関する研究
Project/Area Number |
14510310
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
大淀 昇一 東洋大学, 文学部, 教授 (90016543)
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Keywords | 経済計画 / 教育計画 / 高校進学率 / 産業と教育 / 職業教育 |
Research Abstract |
本研究は、「戦後日本の高度経済成長過程における教育計画策定過程に関する研究」というテーマのもとにその初年度の研究計画を推進した。まず昭和35年の「国民所得倍増計画」の策定に取り組んだ経済審議会の専門委員としてその教育計画にかかわる内容を担当した清水義弘(当時東京大学教育学部助教授)のもとに集積されていた当時の配付資料のデータ・ベース化をめざした。配付資料のすべてのタイトルをカードに採録して、それをフロッピーに打ち込んでパソコンでキー・ワード検索できるようにするための準備作業を推進した。この作業はほぼ完了状態に近づけることができた。その解析作業は第2年度目の主要な内容となろう。また産業教育中央振興会の機関誌『産業と教育』や文部省職業教育課の編集する『産業教育』といった雑誌の関連論文の採録も推進した。この作業から総合制を目指した新制高等学校発足の初期から、つまり昭和20年代においてすでに高等学校職業科が普通科と比較して一段低くみられていたことがすでに指摘されていたことが判明した。このことは、高校進学率が100%近くなって一層普通科指向が高まる中でさらに深刻な形であらわになっていった。つまり高度経済成長の過程で高校進学率が高まれば、当然職業科がさらに低くみられるようになると予想されたことではなかっただろうかと思われる。だが当時こうした予想を立てた人は誰もいなかった。だから高度経済成長の下では高校全入とか高校レベルでの普通教育としての技術教育といった学制改革的な発想が必要だったのである。清水義弘が当時打ち出した三つの教育学上の原則はそうした発想に向かう可能性を秘めていた。だがそれは途中で遺いえてしまった。その背景となった事情をさらに追求していきたい。
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Research Products
(2 results)