2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510316
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
瀧端 真理子 追手門学院大学, 人間学部, 講師 (70330165)
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Keywords | 博物館 / 市民参加 / 博物館史 / 伊藤寿朗 / 大阪市立自然史博物館 / 対話と連携 / 基準 / 社会教育 |
Research Abstract |
大阪市立自然史博物館における市民参加は、長居公園移転以降は、友の会活動とサークル活動に集約され、そこから派生する特別展への協力や調査研究活動、標本類の寄贈や収蔵目録作りに限定されていた。こうした活動の担い手を育てるには、学ぶ楽しさと学問的な成長を学芸員と市民が共有する必要がある。故伊藤寿朗の、「第三世代の博物館」論および「地域博物館論」の着想の源泉の一つは、大阪市立自然史博物館の市民参加の地域共同調査・共同研究活動であったが、伊藤はその調査・研究の質にまでは踏み込まなかった。伊藤はやがて、自然史科学に特化した学術研究志向の強い大阪市立自然史博物館の活動よりも、「自然科学と人文科学の地域課題に即した総合化」をめざす、平塚市博物館の活動に共感を覚え、以後、伊藤と大阪市立自然史博物館の接点が深まることはなかった。博物館への市民参加にはさまざまな局面が考えられるが、資料の価値付け、すなわち学問の最前線にまで市民が参入することが、博物館を真に市民に開かれたものとするであろう。 (財)日本博物館協会は、2000〜2001年にかけて『「対話と連携」の博物館』をまとめ、現在は「公立博物館の設置及び運営に関する基準」の大綱化・弾力化に資するために「博物館の望ましいあり方」を取りまとめている。設置運営基準の緩和に伴い、博物館側は今後は自己評価や外部評価等によって、博物館の質の保持に努めていくことになるが、新しい基準の策定と博物館評価にあたっては、職能団体内部の専門家による討議だけではなく、市民との対話の中から、博物館の理念を鍛え直してゆく必要がある。
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Research Products
(2 results)