2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510318
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Research Institution | HIROSHIMA SHUDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大庭 宣尊 広島修道大学, 人文学部, 教授 (70160611)
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Keywords | 差別問題学習 / カテゴリー化 / 関係の非対称性 / 知識 / 教育実践 / We / Theyの二分法 |
Research Abstract |
人権尊重意識を高め、たがいの人権が尊重される文化を創造することをめざすような教育(人権教育)を展開するにあたって、具体的な人権侵害としての差別を具体的に学ぶ中から、抽象論ではない「日常の作法としての人権尊重」を獲得できるであろう。差別問題学習ということでは、部落差別、障害者差別、女性差別、民族差別等々の具体的問題への取り組みが見られてきたところであるが、部落問題学習(同和教育)に関して指摘されたような、自己との関わりにおいて問題をとらえるのではない、いわゆる問題の「他人事」視、さらには、問題解決に対する無力感の醸成などをはじめとする弊害もまた少なくないと思われる。そこで、こうした実践における「問題の語られ方」「差別-被差別関係の位置づけ」に着目しながら、差別における「当事者」とはいったい誰であるのか、語っている教員・生徒は、問題といかなる位置関係にあるのかを明らかにすることで、自己との関わりの実感の可能性を探り、そこから、具体的な問題解決-人権尊重への展望を構築することをめざした。差別とは、差別されない者を想定して成立する関係である。では、被差別カテゴリーに属すると目されていない多くの「私」は、差別との関係においてどこに位置どるのか。「差別されない」カテゴリーである。「差別されない」私たちは、被差別者「ではない」私たちとしてカテゴライズされるという位置関係にあるのだ。この時の、あの人たち(被差別者)/私たちという二分法こそが、自己と差別との関わりを実感するとともに、問題解決へ向けて「私にできること」を実感できる入り口である。
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Research Products
(3 results)