2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510329
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
煎本 孝 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50124227)
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Keywords | 民族 / 共生 / 紛争解決 / 文化復興運動 / 民族性 / エスニシティ / 帰属性 / アイデンティティ |
Research Abstract |
近年、世界各地で発生する民族紛争とその解決に向けた研究が重要な研究動向の一つとなってきている。本研究では、紛争解決に大きな役割をはたすと考えられる民族的共生のメカニズムを文化人類学的視点から実証的、科学的に検証し、明らかにしようとするものである。特に日本におけるアイヌの文化的-政治的要求と非暴力的な問題解決の過程、さらにその後の展開、帰属性(アイデンティテイ)、民族性(エスニシティ)の形成における民族的共生の役割について分析する。 平成16年度は情報資料とインタビュー資料の追加収集、整理、分析作業を行った。特に、文化復興運動の一環として行われているサケの初漁儀礼、歴史的人物の供養祭などの祭礼、あるいはまりも祭りのような新しい祭りの伝統、創造、共生の過程と現状について、その実態と人々の意識について調査し、民族的対立と共生の動態について明らかにした。すなわち、祭りがアイヌの人々のみではなく和人を含む住民、和人観光客の参加によって構成されているという、民族的共生の場を形成しているということが指摘された。そして、これまでの分析結果に基づき、民族的共生がいかに紛争解決に寄与するのか、その対立から共生へのメカニズムを解明した。 さらに、アイヌ文化をはじめとする北方文化研究の理論的、方法論的検討を行い、社会規範、文化進化、紛争解決などのテーマについて論じ、民族的共生のメカニズムに関する文化人類学的研究の位置づけを行った。これら研究成果を総括し、最終報告書を作成、出版した。
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Research Products
(2 results)