2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510332
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本田 洋 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (50262093)
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Keywords | 韓国・朝鮮 / 在地エリート・地方有志 / 吏族・郷吏 / 士族・両班 / 歴史人類学 / 社会人類学 / 植民地近代性 / 伝統 |
Research Abstract |
本研究の目的は,近現代韓国社会における在地エリートが,近代化,植民地支配の介入,ならびに産業化・都市化の過程で,自らの社会組織と文化伝統をどのように再編成し,さらには地方社会の公的な領域にかかわる諸活動をどのように展開してきたのかを,社会人類学的な観点から究明することにある。本年度は全羅北道南原地域の在地エリートに関連する施設・機関・団体・個人・記念物のデータベースを作成するとともに,同じく南原地域の在地エリートの活動に関わる1920年代以降の新聞記事の収集と主に解放後に活動した地方有志のライフヒストリーの収集にあたった。また,収集した資料のうちで,19世紀後半から1930年代までの吏族系有志による身分伝統の形成に関わるものを整理して,論考をまとめた。その要点は,この時期,吏任・武任歴任者を核とするクリーク(仲間)によって身分伝統が確立されたことと,そのクリークの構成が,亭・廟を拠点とする結社に緩やかに接合される吏族家系出身者から任意加入を基盤としてリクルートされた者によることである。このような身分伝統とその担い手のあり方がこの地域独特のものであったのか,あるいは当時の朝鮮に広く見られる事象であったのかは,他地域の事例との比較を通じて徐々に明らかになりつつある。また,植民地期に始まる地域の開発に媒介者として関与した新旧有力者の活動のなかで,彼らの動向がどのように位置づけられるのかについても検討を進めている。
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Research Products
(2 results)