2004 Fiscal Year Annual Research Report
米国における異なるエスニシティの高齢化と自立概念の侵透過程に関する研究
Project/Area Number |
14510336
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
佐野 敏行 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (20196299)
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Keywords | アメリカ文化社会 / 高齢者の生活変容 / センサス分析 / ヨーロッパ系移民 / 日系移民 / 自立 / 比較家族史 / 文化人類学 |
Research Abstract |
平成16年度の研究概要は、センサス資料のデータベース化と整備、対象地に関連する高齢者の生活実態を示す資料の収集とアメリカ人の現在の生活実態と過去の経験の聞き取り調査である。 1.マイクロフィルム化された米国センサス原簿のうち保存状態が悪かったために入力作業を控えていたハワイ州ヒロの1900年のセンサス資料の入力を完成させることができた。この結果、日系移民の初期の世帯構成を理解できるようになり、ウィスコンシン州の対象地のヨーロッパ系アメリカ人の資料との比較検討資料を増やすことができた。こうした資料の整備をもとに、1900年、1910年、1920年、1930年の間で、ファミリの追跡を行い、ファミリの変化資料を得た。センサス資料から人口学的に、初期の移民の一部が対象地で定着する決断をした様子を把握することができた。また、中西部のポーランド系とハワイの日系との比較をすると、前者の高齢化が1900-10年であることに対し、日系では1920-30年になっていた。移民開始時期に同時代性がある一方で、定着と家族形成の仕方が異なることが示された。しかし、自立の指標とする世帯ヘッドの高齢化にしめる割合の変化を、高齢単身者、高齢夫婦のみ、高齢夫婦と同居人、同居人としての高齢者、の区分毎にみてみると、大恐慌時代の1930年の段階で、ポーランド系、アングロサクソン系、日系に大差がなくなっていて、なぜ、この指標を使用し集計結果に類似性が生じるようになったのか、が新たに、自立概念の浸透過程についての視点を与えることになった。 2.高齢者の生活変容と自立過程の解明のため、国会図書館、和歌山市民図書館、シカゴ大学図書館、シカゴ定住者協会資料室、アメリカ公文書館、日系高齢者施設(ロサンゼルス)で歴史資料の探査と、現在の高齢者の生活実態及び過去の経験の把握を行い、戦後に渡米した日本人の高齢化があらたな高齢化施設の充実化の必要性をもたらしていることが判明した。
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