2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510340
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
聶 莉莉 東京女子大学, 現代文化学部, 教授 (00258493)
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Keywords | 細菌戦 / 戦争記憶 / 外傷神経症 / 戦争遺留問題 / 国家賠償請求訴訟 / 国際市民連帯 |
Research Abstract |
平成15年度は、上記の研究課題について下記のような研究作業を行いました。 第一に、湖南省常徳市で実地調査を実施しました。8月6日〜16日に行った実地調査は、次のような幾つかの要点をめぐって展開しました。(1)旧日本軍による細菌戦の被害者や遺族に対する訪問調査。主として被害者本人や遺族及び彼らの親族の細菌戦に対する記憶、その内容や記憶保存、その記憶が彼らの社会生活に対する影響などに重点を置き、より詳細に聞き取りをしました。(2)常徳市武陵区档案館で保存された1万部以上の細菌戦被害に関する陳述書を部分的に閲覧し、それを通して被害状況をさらに把握しながら、特にその中に反映された被害記憶の世代間の継承や年月の経つと共に保存されてきた状況を調べました。(3)常徳市政府の細菌戦被害調査や日本政府を相手に行われた国家賠償請求訴訟に対する動向を注目し、地方政府の政策や意向が如何に戦争遺留問題に影響を与えるかを留意しました。 第二に、上記訴訟をめぐっての、日本で行われた中国の被害者や原告が参加した市民集会に参加し、このような国際市民連帯に現れている、民族を超えて歴史事実や記憶を共有するような側面に関心をもち、歴史記憶の現代的な意義を考えました。 第三に、日中21世紀友好委員会日本側座長小林陽太郎氏の招きにより、上記委員会日本側委員に対して、「細菌戦の戦争記憶--中国湖南省常徳地区の実地調査に基づいて」という演題で講座をしました。
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