2004 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス等の君主制と比較した近代日本の君主制の政治史的研究
Project/Area Number |
14510357
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 之雄 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00203183)
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Keywords | 明治天皇 / 大正天皇 / 昭和天皇 / 西園寺公望 / 牧野伸顕 / 東久邇宮稔彦王 / 君主制 / 宮中 |
Research Abstract |
本年度は、まず陸軍軍人でもある皇族の東久邇宮稔彦王のフランスからの帰国問題に初めて本格的な光をあて、宮内某重大事件後から1926年までの皇族と宮内政治を一次史料によって分析した。 その後、その成果を含めながら、『昭和天皇と立憲君主制の崩壊』(名古屋大出版会、2005年4月刊行予定)の出版へむけての作業を行った。この本は第一部で近代日本の君主制の政治と制度を、第二部で天皇・皇族の公的イメージを分析した。その論文は第1に、明治天皇・大正天皇・昭和天皇の個性や時代状況の変化に影響されながら、1920年代後半までに、日本は立憲国憲を確立し、政党政治を形成し、イギリスより一歩遅れながらも、イギリスと類似した立憲君主制を発達させていったこと、第2に、日本の立憲君主制(政党政治)が1932年にかけて崩壊していった重要な要因は、昭和天皇の軍に対する揺れる政治関与にあったこと、第3に、唯一の元老である西園寺公望の判断は妥当であったが、昭和天皇が西園寺より若く身近にいる牧野伸顕内大臣の助言を重視したことがまずかったこと、第4に、天皇・皇族のイメージは皇太子の渡欧を機に、従来の軍服中心のものから文官の服装を併用する新しいものに変わり、「平民」他、「健康」(スポーツ愛せる)と「科学」化イメージを柱としたものになるが、浜口雄幸内閣期より、昭和天皇の大元師イメージが再び強まり、満州事変以降、天皇・皇族とも、軍服中心(男子)の神秘化したイメージを定着させていくことまである。
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Research Products
(2 results)