2004 Fiscal Year Annual Research Report
幕末維新期の出雲・大社地域における史的特質-大社町・藤間家文書を中心として-
Project/Area Number |
14510362
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
勝部 眞人 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (10136012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
頼 祺一 比治山大学, 現代文化学部, 教授 (50033494)
相良 英輔 島根大学, 教育学部, 教授 (70124071)
濱田 敏彦 広島経済大学, 経済学部, 助教授 (80330653)
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Keywords | 大社地域 / 維新期 / 名望家(地域リーダー層) / 文明開化 / 断髪 / 山陰鎮撫使 |
Research Abstract |
本研究は、これまでほとんど明らかでなかった幕末維新期における島根県大社地域の歴史的特質を、同地域の藤間家文書を中心にして解明していこうとするものである。 史料調査・整理については、一紙文書など手つかずのものもかなり残ってしまったが、中間報告的に文書目録を作成するところまでこぎつけた。 同家文書の分析も少しずつ進展し、いくつか興味深いことも判明しつつある。 たとえば近世後半以降、出雲大社春秋二季の祭礼の時には、大規模な富興行によって中四国や九州・京阪神等から数万とも言われる参詣客が集まったが、大社地域の下層町人も含め参詣客相手の諸商売・宿商売が活発化していったのである。しかし、明治元年末維新政府の富興行禁止策により参詣客は激減し、翌年下層民への救恤であった養米の払底という事態も重なって騒動まで勃発することになる。こうした不穏な状況下において、藤間家をはじめ地域リーダー層は、新政府の「開化の御主意」を体現しつつ地域秩序の安定に奔走せねばならなかったのである。 また、そうした「開化の御主意」の一つに断髪があり、その具体的な状況を伝える史料も残されている。縁戚にあたる宍道の木幡久右衛門からの書状に断髪に関わるものが残されており、藤間家にはその断髪式を写し取った写真も残されている。地域において断髪、文明開化をどう受け入れていったのかを示す全国的にも貴重な資史料であると言える。
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Research Products
(4 results)