2005 Fiscal Year Annual Research Report
「ソーシャル・デモクラシー」の視座設定-大正期の社会主義者と自由主義者
Project/Area Number |
14510369
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
山泉 進 明治大学, 法学部, 教授 (10130840)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重田 園江 明治大学, 政治経済学部, 助教授 (60318657)
飯田 泰三 法政大学, 法学部, 教授 (00061218)
荻野 富士夫 小樽商科大学, 商学部, 教授 (30152408)
田中 ひかる 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (00272774)
|
Keywords | ソーシャリズム / デミクラシー / 大正期 / 大杉栄 / 石川三四郎 |
Research Abstract |
本研究課題は、日清戦争後「ソーシャル・デモクラシー」の思想として受容された日本の社会主義思想が、平民社における非戦運動を端緒としながらも、その後の「直接行動論」を契機にしながら、変容をとげていく姿を検証するものである。 1、研究代表者・山泉進の論文「初期社会主義とFree Love-石川三四郎「自由恋愛私見」をめぐって」は、初期社会主義者たちの「自由恋愛」思想の受容と展開をテーマとしたものである。「恋愛」や「結婚」あるいは「家庭」をめぐる初期社会主義者たちの議論は、「社会主義」や「民主主義」などの公的な制度改革に直接かかわるものではないが、自己の精神解放、あるいは生き方にかかわる重要なテーマであった。石川三四郎の論説をとおして、「自由恋愛」が社会主義者に受け入れられたかを検証した。また、山泉は「尾佐竹猛と日本憲政史研究」(『尾佐竹猛著作集』第7巻所収、解題、2006)において、大正デモクラシー期に出発点をもつ尾佐竹の憲政史研究の展開を整理している。大審院判事でもあった尾佐竹は「明治文化研究会」において民本主義者、吉野作造と交友関係をもった。 2、田中ひかる論文は、大杉栄が出席するはずであった1921年のベルリンにおけるアナーキスト国際会議について言及したものである。ベルリンでの国際会議は、ロカーやエマ・ゴールドマンなどボルシェヴィキ革命に反対するアナーキストたちの会議として設定されたものである。ロシア革命が、ボルシェヴィキ派によって社会革命党やアナーキストを排除して独裁化するなかで、革命がいかに変質したかを告発した。 3、飯田泰三の著作『戦後精神の光芒』は、丸山真男と藤田省三の研究業績を通して戦後の民主主義を支えた精神を分析したものであり、丸山の思想核心を「永久革命としての民主主義」にあると捉え、本研究課題に関連するものである。
|
Research Products
(4 results)