2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510370
|
Research Institution | Nagoya University of Arts |
Principal Investigator |
岸野 俊彦 名古屋芸術大学, 音楽学部, 教授 (80123355)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 真崎 桜花学園大学, 人文学部, 教授 (60022381)
安藤 淑江 名古屋芸術大学, 音楽学部, 助教授 (60212677)
松田 憲司 名古屋芸術大学, 美術学部, 教授 (00123357)
|
Keywords | 尾張藩社会 / 文化 / 情報 / 学問 / 美濃 / 地誌 / 大坂 |
Research Abstract |
本研究は、近世を通して広汎な領域を支配した尾張藩を対象とした研究の分断的進展状況を整理し、これまでの研究史を結合させながら、「尾張藩社会」というキーワードに象徴させ、新しい個別藩研究のスタイルを拓くことを課題としている。これまでの個別藩研究は領国中心に、地方支配の解明に偏重した研究手法を採用してきた。尾張藩研究もその例外ではない。本研究では総合的実在としての尾張藩が持った多面的重層的支配の在り方がどのように形成されてきたか、それは近世幕藩制社会にどのような影響を及ぼしたのかを、支配構造のみならず、政治史・文化史・思想史・社会史の領域を統合して解明することにある。尾張・美濃のみならず木曽谷・伊那谷をも傘下に収め、江戸・大坂・京・伏見・堺に屋敷を持った尾張藩は、主要な河川支配を通じて全国物流にも参画した.また藩内藩とも称すべき万石の給地を有する家臣が存在し、支藩の支配機構をも実質的に掌握した。こうした尾張藩の持った多面的重層的支配の在り方を各学問領域の成果を踏まえて統合するところに本研究の意義と成果を見出すことができる。14年度においては文化・情報・学問をキーワードに研究代表者岸野による『尾張藩社会の文化・情報・学問』(2002年10月・清文堂出版)が上梓され、新たな知見を含めた成果が反映されている.また美濃においては、奥州各地へ茶を売捌いた尾張藩御用茶師中嶋家の調査に着手し、その成果を目録として纏めた。尾張藩による蔵物支配が敦賀湊を経由し、北前船により奥州各地へ回送された詳細を知りえたことは新たな知見であり、広域的流通を研究する上でも反映できる大きな成果といえる。
|
Research Products
(2 results)