2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14510379
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
井原 今朝男 国立歴史民俗博物館, 歴史研究部, 教授 (20311136)
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Keywords | 債務史 / 中世語の両義性 / 文書集合論 / 請取と貸借 / 切符 / 下書 / 中世借用状 / 請取状の多義性 |
Research Abstract |
1、これまで前近代での債務契約においても受領書として機能すると説明されてきた請取状様式文書が、中世貸借契約では借用状として機能すること、中世において請取状がものの受領書にもなれば、反対の借用書にも機能しており、中世における請取・請・納などの用語は両義性をもつこと。こうした性格は、古代の請納文や返抄にもみられ、古代中世社会に共通すること。東大寺図書館所蔵の未成巻文書の調査から、債務契約の解消の際に提出される返抄が三つの類型があること。などの諸点について、論文「中世請取状と貸借関係」(『史学雑誌』一一三一二 二〇〇四・二)として発表することができた。これにより、古代中世における債務契約は、近代的所有における債務契約とは異なる時代的特質をもち、独自の原理が機能していたことはほぼあきらかになってきた。 2、東大寺図書館所蔵の未成巻文書のなかにある「請取状」と一括された文書集合については、中世後期の段銭請取状や、平安〜天正までの請取状・借用状・切符・下書・返抄などの文書様式が一括されていることが、保存管理状態の調査から判明しつつある。この調査を継続すれば、これらの文書集合が中世人の文書集合を示すものであり、中世人が請取状と呼んでいた文書様式がどのようなものであるのか、また中世人が「請取」と呼ぶ行動がどのような行為をさすものかを具体的に明らかにすることができる可能性が見出せた。文書集合論による古文書学の必要性が判明しつつある
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 井原今朝男: "室町期東国本所領荘園の成立過程"国立歴史民俗博物館研究報告. 104号. 14-40 (2003)
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[Publications] 井原今朝男: "東国荘園年貢の京上システムと国家的保障体制"国立歴史民俗博物館研究報告. 108号. 93-120 (2003)
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[Publications] 井原今朝男: "中世請取状と貸借関係"史学雑誌. 113-2. 32-55 (2004)
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[Publications] 井原今朝男: "災害と開発の税制史"国立歴史民俗博物館研究報告. 118号. 337-361 (2004)
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[Publications] 井原今朝男: "中世における信用経済と流通"新訂増補週刊朝日百科47日本の歴史 古代7. 579号. 213-216 (2003)
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[Publications] 井原今朝男: "本間美術館所蔵「明月記」断簡について"日本歴史. 660. 90-94 (2003)
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[Publications] 井原今朝男: "中世寺院と民衆"臨川書店. 310 (2004)